2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄再生療法を目指した多血小板血漿による象牙芽細胞分化・象牙質形成誘導の検討
Project/Area Number |
24792029
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
鷲尾 絢子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10582786)
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Keywords | バイオガラス / ハイドロキシアパタイト |
Research Abstract |
本研究の最終目標は歯髄創傷治癒メカニズムの解明と象牙質・歯髄複合体再生療法の確立にある。最終目標の達成に向け、当該年度では、実践的治療技術を確立することを具体的目的として、多血小板血漿(Platelet Rich Plasma,PRP)を使用する際に必要となる良好な封鎖性や生体親和性などの性質を有する歯科用セメントの評価を行った。 今回、バイオガラスを配合したセメント(NSY-222)を開発するとともに、フッ素非含有アルミノシリケートガラスが配合されたセメント(NSK-12)とを比較し、NSY-222の物理化学的特性や細胞に及ぼす影響とバイオガラスとの関連性を検討した。電界放出型電子顕微鏡(FE-SEM)、および粉末エックス線回折装置(XRD)を用いて結晶構造の解析・同定を行った。また、pHの変化を測定することにより、セメントの物理化学的特性を評価した。また、各種細胞に対するセメントの影響を位相差顕微鏡による細胞形態観察、トリパンブルー染色による細胞生存率、および分化能を評価を検討した。 FE-SEMおよびXRDの解析結果から、NSY-222表面はハイドロキシアパタイト(HAP)と同等のものであること、pHは、pH9.0で安定することが明らかとなった。さらに、各種細胞へのセメントの影響を位相差顕微鏡で観察したところ、NSK-12では多くの細胞死が観察されたが、NSY-222では直接接触する位置まで細胞が増殖しているのが観察され、高い細胞生存率を示していた。また、NSY-222は、神経細胞への分化を誘導する傾向を示した。 これにより、新しく開発されたバイオガラス配合セメントは、生体材料としての物理化学的特性を有し、かつ生体親和性の高いセメントであることが示唆される。
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