2012 Fiscal Year Research-status Report
光機能化処理により二酸化チタン含有漂白剤の漂白効果は促進されるのか?
Project/Area Number |
24792032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
河野 舞 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (90586926)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯学 / 漂白 / 二酸化チタン / 光機能化 |
Research Abstract |
本研究は、低濃度の過酸化水素と反応させる以前の二酸化チタンに、複合波長の紫外線を照射し、二酸化チタンに付着している炭化水素を除去することが、従来の漂白法よりも短時間で漂白効果が得られ、さらに生体(歯質や軟組織)に対して安全性が得られるという仮説のもとに研究を企画し、光触媒二酸化チタンを用いた新規歯牙漂白法の開発を目指して基礎的研究を行うものである。 初年度においては、最初に炭化水素を取り除く照射時間の確率を目標に、XPS(X線光電子分光)を用いて経時的変化の比較検討を行う予定であったが、手技の難易度と経費の観点により、メチレンブルー溶液を用いて色素分解能の変化を確認し、これから得られたデータをもとに、二酸化チタン粉末表面の炭化水素を含む元素分析を行うこととした。 アナターゼ型二酸化チタン粉末(ST-01, 石原産業)をガラスシャーレに1g採取し、1時間37℃でインキュベーターに安置(遮光)させた後、漂白前処理としてトランスイルミネーター(UV Hand Lamps, USA)を用い365nm光源を照射した。照射時間は(15, 30, 60 )分とした。前処理後、10ppmのメチレンブルー(MB)溶液1mlと混和し、トランスイルミネーターを用いて365nm光源を2分間照射した。Controlとして、漂白前処理を行わない二酸化チタン粉末とMB溶液の混合溶液に365nm光源を2分照射したものを使用した。その後、Nano-Drop ND-1000 spectrophotometer(Nano-Drop, USA)を用いてMBの吸収波長である668nmを測定し検討した。その結果、Controlと比較し、前処理15分では吸光度に変化が認められず、前処理30, 60分では1.2-1.3倍の吸光度の上昇が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れてしまった原因として、予備実験に時間がかかりすぎたことが挙げられる。これは、漂白時間の設定や測定値に誤差が出ないよう照射および測定に伴う環境を一元化することに手間がかかりすぎたことが原因であると思われる。また、当初の研究計画ではXPS(X線光電子分光)を用いて二酸化チタン粉末表面の炭化水素を含む元素分析を行う予定であったが、最適な照射時間の設定が出来なかったため、来年度以降に比較検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験結果より、二酸化チタンに付着している炭化水素を除去することによって短時間で漂白効果が得られると仮説したが、前処理照射時間を長く設定するほど逆に漂白効果が低下する結果が示唆された。前処理照射時間が15分では漂白効果に差が認められなかったことより、さらに短時間で前処理照射時間を設定し、メチレンブルー溶液を用いた色素分解能の評価を引き続き行い、漂白効果を獲得する最適な前処理照射時間を模索することにする。 また、メチレンブルー溶液を用いた色素分解能の評価結果で得られた前処理照射時間において、XPS(X線光電子分光)を用い、二酸化チタン粉末表面の炭化水素を含む元素分析および歯牙着色モデルによる漂白効果の評価を行い、経時的変化の比較検討を行うことにする。 しかしながら、最適な前処理照射時間の設定が困難、もしくは前処理を行うことで逆に漂白効果が得られなかった場合には、紫外線-オゾン照射も含めて、光触媒作用発現のための光源の変更および照射条件に改良を加えることにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
二酸化チタン粉末表面の炭化水素を含む元素分析をXPS(X線光電子分光)で測定する際の試料作製に使用する試薬や器具が必要である。また、歯牙着色モデルを用いた色調変化の測定に伴い、ハイドロキシアパタイトペレットを含む歯牙着色モデル作製のための材料費が必要である。また、色調変化の測定に使用するため、簡易型分光色差計が必要となる。
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