2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安田 源沢 日本大学, 歯学部, 非常勤医員 (50579977)
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Keywords | 機能性高分子材料 / 脱灰抑制 / 再石灰化 / S-PRG |
Research Abstract |
隣接面に及んだ根面齲蝕の修復操作は困難なことから,広範囲な実質欠損となる前の初期段階で再石灰化療法を行い,根面齲蝕の進行を抑制することが重要となる。一方,根面齲蝕が多発する高齢者においては全身的な問題から治療に制限を受けることも多く,フッ化物配合歯磨剤などを応用することで齲蝕リスクのコントロールが行なわれている。しかし,これらのホームケア製品の効果は,患者個人の実行性やブラッシングの手技に影響を受けるとともに,歯磨剤に含まれるフッ化物濃度にも制限がある。そこでF以外にもSiあるいはSrなどのイオンを徐放するS-PRGフィラー含有歯磨剤に着目し,この歯磨剤を象牙質に適用させた際の状態変化を,超音波パルス法を用いて検討した。 ウシ抜去歯歯根部象牙質をブロックとして切り出したものを超音波測定試片とし, ①EDTAで10分間脱灰した後,人工唾液に保管(Control群)②EDTAで10分間脱灰した後,S-PRG含有歯磨剤希釈液に10分浸漬後,人工唾液に保管(PRG群)③EDTAで10分間脱灰した後,フッ化物含有歯磨剤希釈液に10分間浸漬後,人工唾液に保管(F群)の3条件のpHサイクルを1日2回,28日間適用した。これらの試片の超音波の縦波音速を求めることで,象牙質の状態変化を経時的に測定した。 その結果,Control群では,縦波音速は実験開始前と比較して低下する傾向を示した。一方,PRG群およびF群では,実験期間の延長に伴い縦波音速が上昇する傾向が認められるものの,その傾向はPRG群で大きいものであった。このように,PRG群で縦波音速の上昇が大きかった原因としては,歯磨剤中のS-PRGフィラーから放出される種々のイオンが,象牙質に効率的に作用することで,象牙質の脱灰抑制および再石灰化に影響を及ぼした可能性が示された。
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Research Products
(2 results)