2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノバブル化した生薬成分配合長期作用型口腔ケア剤の開発
Project/Area Number |
24792052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
洪 光 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70363083)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノバブル / 生薬 / AQP5 / 口腔ケア / 歯科補綴学 |
Research Abstract |
日本の高齢化率は23.1%で超高齢社会に突入している。高齢者人口が増加するにつれ、全部床義歯装着者の割合が増加する。総義歯装着者では口腔乾燥症が高い頻度で認められる。一方、義歯装着者のカンジダリスクは義歯非使用者の19.3倍である。また、義歯装着患者のほとんどが口臭の悩みを訴えている。漢方医学では古くから口腔乾燥症、口臭の治療に生薬を使っている。そこで本研究では、ナノテクノロジーに注目し、有効成分をナノバブル化することにより、効果が長期持続させることを考えた。口腔ケア剤に抗菌性を持たせ、口腔内カンジダ症、誤嚥性肺炎などの予防効果のみならず、口腔乾燥症予防および治療、口臭抑制、抗インフルエンザウイルスなどにも期待できる、高齢者のための口腔ケア剤の開発を目的とする。本剤の開発により、口腔乾燥症、口腔内真菌感染、口臭および義歯の不安定などの悩みをもつ高齢者のQOLの向上を目指す。 本年度は、ナノバブル化した各種生薬および各種茶カテキン抽出エキスの一般毒性動物実験を行い、生体に影響を与えないことが確認できた。また、各種生薬エキスの管腔膜でのAQP5量および老齢ラットの唾液分泌量に及ぼす影響および揮発性硫化合物(CVS)の分解能について検討を行い、有効成分の量的特定ができた。さらに、各種口腔内常在真菌を用い各種茶カテキンが抗真菌性に及ぼす影響、ヒト歯肉繊維芽細胞に及ぼす影響に関する検討を行い、有効成分の量的特定ができた。 以上の結果をふまえ、次年度は、有効成分を用い、化学組成および構造因子が試作口腔ケア剤の理工学的性質(材料の粘度、操作性、保湿性、粘着力、pH 、義歯のぬれ)に及ぼす影響、唾液分泌能および抗真菌性に及ぼす影響について検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験から得られたデーターは更なる解析が必要だが、当初計画した研究計画のほとんどの項目が終了しており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた結果を基にして、有効成分配合試作口腔ケア剤を作製し、それぞれ3種類の生薬エキスおよび茶カテキンを使用し、これらの成分の含有量、組合せなどが試作口腔ケア剤の理工学的性質、唾液分泌能および抗真菌性に及ぼす影響を検討するため、試作剤の粘度および操作性の測定、材料の保湿度、湿潤性、PH測定、床用レジンのぬれに及ぼす影響の測定、粘着力の測定、溶出成分の定性定量分析、溶出成分が老齢ラットの唾液分泌量および管腔膜でのAQP5量に及ぼす影響の測定、溶出成分の急性毒性試験(動物実験)、溶出成分が口腔内常在真菌に及ぼす影響の測定、溶出成分が人歯肉繊維芽細胞に及ぼす影響の測定、溶出成分のCVS分解能試験を行う予定である。 以上の結果から、保湿・湿潤性の観点より、適切な材料組成の種類、含有量を決定し、さらに、抗真菌性、口臭抑制の観点より、適切な生薬および茶カテキンの種類および含有量を決定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)