2014 Fiscal Year Research-status Report
咬合支持喪失に伴う顎口腔系の負荷を可視化するMR画像診断法の確立
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24792053
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 哲史 東北大学, 大学病院, 助教 (50400263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MRI / 咬合力 / 咀嚼筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、3種類の形状の咬合力センサー(欠損なし、右側大臼歯部欠損、左側大臼歯部欠損)によって咬合支持状態を変化させた健常有歯顎者10名にクレンチング運動を行わせ、運動前後のMR画像から算出した各咀嚼筋T2の単位体積あたりの変化量を指標として全咀嚼筋の活動を評価した。クレンチング時の咬合力は各被験者の最大咬合力に対する40%の強度とし、クレンチング継続時間は1分および2分とした。その結果、全ての条件で全咀嚼筋において有意なT2の延長が認められたが、2分間のクレンチング後では被験者ごとのT2変化量の差が非常に大きく、統計学的に有意な咀嚼筋活動の特徴は観察されなかった。一方、1分間のクレンチング後では、右側側頭筋のみにおいて、右側大臼歯部欠損と左側大臼歯部欠損の条件間で筋活動に統計学的な有意差が観察されたが、やはり被験者間のバラつきが大きく、臼歯部欠損に伴う咀嚼筋活動の変化を明確に示すことはできなかった。 そこで、これまで骨格筋を対象としたmfMRIの研究において、筋活動の指標として一般的に用いられてきた単位体積あたりのT2変化量ではなく、筋全体のT2変化量を算出して様々な統計解析を行った。その結果、いくつかの咀嚼筋で、筋活動量と咬合力との間に強い相関が認められ、臼歯部欠損に伴う相関の変化も観察された。また、全咀嚼筋の筋全体T2変化量の合計は、欠損なしの条件において咬合力との間に非常に強い強い相関を示し、臼歯部欠損条件では相関がやや低下した。咬合力と咀嚼筋活動との高い相関は、その筋の咬合力発揮への寄与が大きいことを示していると考えられ、一部咀嚼筋で観察された臼歯部欠損に伴う相関の低下は、筋の役割の変化を反映していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度に、MR画像撮影と解析を終了し、論文として成果発表を行う予定であった。しかし、これまで使用していたMRI装置に臨床利用との競合や性能上の問題が発生したため、研究用の高性能MRI装置への変更を行うために、撮影の一時中断および再撮影を行う必要が生じた。そのため、平成26年度中に終了する予定であった解析の一部と論文での成果発表を行うことが出来ず、研究期間を平成27年度まで延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに3TのMR装置を使用してデータを収集し、特に顎関節における下顎頭表面のT2を評価可能な高解像度での撮影方法を確立する。また、咀嚼筋活動の解析の継続して行い、速やかに論文での成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、MR画像撮影と解析を終了し、論文として成果発表を行う予定であった。しかし、これまで使用していたMRI装置に臨床利用との競合や性能上の問題が発生したため、研究用の高性能MRI装置への変更を行うために、撮影の一時中断および再撮影を行う必要が生じた。そのため、平成26年度中に終了する予定であった解析の一部と論文での成果発表を行うことが出来ず、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部のMR画像解析と論文による成果発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる予定である。また、解析後のデータを安全かつ長期的に保存するための機材を整備する予定である。
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