2012 Fiscal Year Research-status Report
ジルコニアオールセラミック修復用陶材の強度向上の要件を探る
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24792058
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 賞子 東北大学, 大学病院, 医員 (60431590)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ジルコニアセラミック / チッピング / オールセラミック |
Research Abstract |
研究者は,ジルコニアオールセラミック修復の陶材のチッピングの原因を,コアフレームに用いるジルコニアセラミックの熱伝導率が金属と比べ非常に低いことや,ジルコニアセラミックの熱容量が大きいことから,ジルコニアフレームの厚さやベニアポーセレンの焼成条件によって,ベニアポーセレンの焼成不足や,焼成後の成形体の内外面に収縮差が生じるなどの欠陥を引き起こすためではないかと考えている.このことから,研究者はこれまでに,ジルコニフレームの厚さの違いがベニアポーセレンの強度に及ぼす影響について検討を行ってきた.その結果,ジルコニアフレームに焼成したベニアポーセレンの破壊靭性値は,フレームの厚い試料において部分的な低下がみられることが示唆され,学会で報告している.当該年度はベニアポーセレンの焼成条件(焼成温度,昇温速度)が破壊靭性値に及ぼす影響について検討を行った. ジルコニアオールセラミック修復用ベニアポーセレンの破壊靭性値において,焼成温度による影響は見られなかった.また昇温速度については,ベニアポーセレンのフレームに近い部分の破壊靭性値が低く,フレームから遠い部分の破壊靭性値が高いこと,また昇温速度の速い試料のほうがマニュアル速度の試料よりも破壊靭性値が低かったことなどから,昇温速度がベニアポーセレンの破壊靭性値へ影響を与えることも示唆された.しかしながら,最適な焼成条件をもってしても,ジルコニアオールセラミック修復用ベニアポーセレンの強度はメタルセラミック用のものと比べて低いということが今回の研究より示唆された.このことから,ジルコニアオールセラミック修復用ベニアポーセレンのチッピングの主な原因は,ベニアポーセレンの強度が根本的に低いことである可能性が考えられる.今後,他の種類のベニアポーセレンも使用し検討していく必要があると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の実験計画では,条件として① 陶材の焼成温度,②陶材の昇温速度、③陶材最終焼成時の徐冷操作の3点で実験を行う予定であった.①および②の結果については前述した研究実績の概要となっている.また,③については現在進行中であり,順調に成果が出せるところまで到達している.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に行ったベニアポーセレンの焼成条件の違いによる破壊靭性試験の結果を踏まえ,フレームが大きく,フレームの冷却が遅れることが予想される大臼歯のジルコニアオールセラミッククラウンについて破壊強度試験を行う予定である. 条件設定としては,①ジルコニアフレームの厚みの違い(0.4 mm, 0.8 mm),②ジルコニアフレームの形態(隣接面部などのポーセレンが厚くなると考えられる部位のフレームを厚くし,オリジナルのスタンダード設計との比較),③陶材の焼成条件(平成24年度で得られた結果より,最適な焼成条件を設定)の3条件を考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額と合わせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)