2014 Fiscal Year Annual Research Report
下顎義歯の大連結子が発語機能に及ぼす影響についての研究
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24792065
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
和田 淳一郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20611536)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発語機能 / 部分床義歯 / 大連結子 |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎義歯の大連結子にはリンガルバー、リンガルプレートが存在する。その選択基準は口腔底の深さ、前歯の歯軸、顎堤のアンダーカットの有無などが挙げられる。歯周病学的観点からは歯頸部を開放したリンガルバーが推奨されてきたが、近年の研究ではリンガルプレートであってもプラークコントロールと適切なメンテナンスがなされていれば問題がないことが示されている。力学的・歯周病学的に2種類の大連結子の選択が可能であれば、選択基準に発語機能への有利性を加えることは、患者のQOL向上に有効であるため、大連結子のデザインの差が発語機能に及ぼす影響について検証した。この結果、両者に大きな差はないものの,音節によっては,被覆面積の大きなリンガルプレートの方が有利である可能性が示唆された。本研究で用いた発語機能評価システムでは、従来の研究で検出の困難であった微細な影響を評価可能であることも同時に示されたため、上顎義歯の大連結子の細かなデザインの差による影響を追加検証することとした。この結果、先行研究で発語機能への影響が少ないと報告された中パラタルバーと、より剛性が高く力学的に有利であるが被覆面積の大きいパラタルストラップについて、幅、断面形態の差が発語機能に及ぼす影響について詳細な検証を行うことができた。この結果、必ずしも被覆面積が大きい大連結子が発語機能に不利ではないことが示され、義歯を新しく製作する際に、パラタルストラップを選択したとしても、発語機能への影響が増すとは言えず、発語機能に対する不安の大きな患者に対して、必ずしも避けるべきでないことが示唆された。これは、患者の主観的な発語障害に対する評価を気にするあまり、経験的に、強度が劣る中パラタルバーを選択することにより、長期的な予後を得られることが難しくなるといった、エビデンスに乏しい治療方針の選択方法に対し、より多角的な検討を推奨するものである。
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Research Products
(5 results)