2012 Fiscal Year Research-status Report
機械的刺激によるコラーゲン翻訳後修飾を介した歯根膜安定化機構
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24792068
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯根膜 / メカニカルストレス / I型コラーゲン / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
本研究の目的は、機械的刺激が歯根膜のI型コラーゲンの翻訳後修飾に及ぼす影響を解析し、関連する因子の機能を解明する事によって歯根膜恒常性維持機構の一端を明らかにしようとするものである。歯根膜組織の維持に機械的刺激が影響を及ぼしていることは幾多の臨床的知見からも明らかであるが、未だその制御機構については不明な点が多い。I型コラーゲンは歯根膜線維の主たる構成要素であり、その組織特異的な翻訳後修飾が組織特異的な機械的特性を獲得する為に不可欠である事が近年明らかとなりつつある。コラーゲン翻訳後修飾の中でもリシン水酸化酵素(PLOD2)による制御はクロスリンクの生成に重要な役割を果たしている。 H24年度には機械的刺激の歯根膜細胞の核内伝達機構として、Focal Adhesion Kinase (FAK)およびMitogen Activated Protein Kinase (MAPK)の活性を解析し、FAKおよびMAPKのERK、p38経路の活性をウェスタンブロットと免疫染色法によって確認した。BAPN投与群では過剰咬合による歯根膜繊維の増加が部分的に抑制されていた。Lysyl Hydroxylase 2 (LH2)遺伝子の発現抑制モデルでは骨芽細胞におけるマトリックス形成能をpicrosirius red染色にて、石灰化能をAlizarin red染色にて評価した。LH2遺伝子の発現抑制モデルではマトリックス形成能、石灰化能ともに遅延が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、機械的刺激の歯根膜細胞の核内伝達機構として、Focal Adhesion Kinase (FAK)およびMitogen Activated Protein Kinase (MAPK)の活性を解析し、FAKおよびMAPKのERK、p38経路の活性をウェスタンブロットと免疫染色法によって確認した。Lysyl Hydroxylase 2 (LH2)遺伝子の発現抑制モデルでは骨芽細胞におけるマトリックス形成能をpicrosirius red染色にて、石灰化能をAlizarin red染色にて評価した。LH2遺伝子の発現抑制モデルではマトリックス形成能、石灰化能ともに遅延が認められた。 上述のように、現在までのところ研究は研究計画への記載内容と比較しておおむね順調に達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ培養系での研究は順調に進捗している。現在、動物実験の準備を進めているが、当初予定していたビタミンC欠乏モデルではなく、クロスリンクの阻害剤であるBeta-aminoproprionitrile(BAPN)を投与したモデルを用いることとした。ビタミンC欠乏ラットよりもBAPN投与モデルのほうがクロスリンク生成経路抑制の特異性が高いためである。組織の解析方法については当初の予定通り、コラーゲンの成熟度についてpicro-silius染色、偏光顕微鏡を用いて検出を行い、組織中のクロスリンクの分布についてはフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて行う予定としている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費は、主として動物の購入、動物実験施設使用料、組織解析必要経費、FT-IR解析費用、人件費として使用予定である。 尚、H24年度残金は端数であり、研究費をより効果的に使用するために翌年度繰越とした。
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