2013 Fiscal Year Annual Research Report
機械的刺激によるコラーゲン翻訳後修飾を介した歯根膜安定化機構
Project/Area Number |
24792068
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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Keywords | 歯根膜 / メカニカルストレス / コラーゲン |
Research Abstract |
歯根膜基質成分の約70%を占めるI型コラーゲンはその生合成の過程において、20種を超える酵素による一連の翻訳後修飾を受け、最終産物としての分子間架橋構造(クロスリンク)を生成する。歯根膜、骨、皮膚を含む多くの結合組織において、I型コラーゲンが主たる構成要素であるにも関わらずその機械的特性が異なるのは、組織特異的な分子発現だけでなく、組織特異的なクロスリンクのパターンが重要であることが示唆されている。本研究では機械的刺激が、歯根膜におけるコラーゲン・クロスリンクの生成に及ぼす影響について解析を行った。機械的刺激によりヒト歯根膜由来細胞において、クロスリンクの生成に重要なLysyl Hydroxylase2 (LH2)遺伝子の発現のみならず、クロスリンクの生成を示すコラーゲン分子のβ鎖の増加が認められた。ラットを用いた過剰咬合モデルでは、機械的刺激の入力を示すpFAK、HSP27のみならず、LH2陽性細胞数の増加が認められた。歯根膜組織におけるLH2の発現は歯槽骨側に限局しており、歯根膜における極性の存在を示唆していると考えられる。さらにPicrosirius染色により、歯根膜コラーゲン繊維の増加と成熟を示す所見が得られた。さらにクロスリンク阻害剤であるBAPNの投与により、過剰咬合によるコラーゲンの成熟は抑制された。以上の結果より、歯根膜において機械的刺激はコラーゲンの翻訳後修飾を介して組織の維持、安定化に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)