2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢一卵性双生児の比較研究:口腔の形態と機能に対する環境要因の影響について
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24792074
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 謙一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80448109)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 双生児研究 / 高齢双生児 |
Research Abstract |
遺伝要因が一致している一卵性双生児においては,歯や顎骨に関する遺伝発現も同一であると考えられ,高齢期に達したとき,歯や口腔機能に相違があるとすれば,環境要因によって生じたものであると推測される.ただし,どのような環境要因が歯や顎骨にどの程度影響を与えるかを検討した研究はこれまでほとんどみられない.そこで本研究では,60歳以上の高齢双生児100組を対象として,歯科既往歴等の問診,口腔内検診,機能検査,レントゲン撮影,研究用模型採得などを行うことで口腔に関する情報を収集を行う.また,本研究では環境要因について,歯科保健意識や歯科受診行動のみならず,センター内の共同研究者とデータを共有することによって,教育歴,職業歴,既往歴,性格,健康志向,食習慣,ライフスタイルや社会経済的要因などの情報収集や,全身状態の評価として,現有疾患や血液一般検査等も行う予定である.以上のような詳細な環境要因のうち,どのような要因が歯列状態やその欠損パターン,欠損部顎骨の形態,骨吸収状態や口腔機能に影響しているか,多変量解析を用いて分析し明らかにすることを目的として研究を行っている。 本年度は、約60組の高齢双生児を対象に調査を終了した。各被験者に対し、診察・検査を行い、残存歯数、齲蝕経験歯率、唾液中潜血、咀嚼能率、上下歯列の大きさについて調査を行い、データを収集した。その後、それぞれの項目において双子間における級内相関係数の検定、共分散構造分析を用いた単変量遺伝解析を行った。現在までのところ、口腔の形態的要素である歯を支える顎骨の大きさは、遺伝因子による影響が大きく、また運動機能である咀嚼には、遺伝因子の関与が存在することが示唆された。その一方で、歯の疾患である歯周病やその結果としての歯の喪失は、環境因子による影響が大きいことが推察される結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、約60組の高齢双生児を対象に調査を終了した。各被験者のデータを収集するだけでなく、それぞれの項目において双子間における級内相関係数の検定、共分散構造分析を用いた単変量遺伝解析を行い、その結果を学会発表等、順調に行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本年度と同様に高齢双生児の調査を行い、データ数を増やすことを考えている。また、より細やかなデータ分析を行うために、新たな統計手法(遺伝的統計分析を行うための共分散構造分析の類)を取り入れることが必要であると考えている。そのため、統計手法についても情報を収集、分析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は,検査として咬合力,咀嚼能率,咬合接触状態,唾液分泌速度検査などを実施する必要があり,それぞれ必要な物品の購入を予定している.また,パノラマレントゲン撮影にについて本年度100名分,検査費用を計上している.また、本研究では多数調査票を用いて収集するため,調査票印刷について年間5万円を,発送などのため通信費を年間5万円を毎年計上している. データの入力には研究補助者が不可欠であり,これには謝金を供出する.データ入力ならびに検査には,1人あたり約60分必要で,200名分では延べ約200時間必要である.時給1000円とすると,約20万円が必要であるため期間合計で本年度10万円を計上している. 成果発表に対する経費として国内旅費については,20万円(5万円*2人分(研究代表者,大学院生)*2回分)を、また外国旅費については,1回30万円を毎年計上した.
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