2013 Fiscal Year Annual Research Report
オッセオインテグレーション獲得後の糖尿病発症がもたらす骨動態変化の先行的解析
Project/Area Number |
24792075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
香川 良介 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40448147)
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Keywords | インプラント / オッセオインテグレーション / 除去トルク / 骨代謝マーカー / 糖尿病 |
Research Abstract |
近年、インプラント治療は高い成功率を示し、歯の欠損や機能の回復の一手段としての確実性に疑う余地はない。しかしながら、オッセオインテグレーション獲得後に生じる様々な全身状態の変化がインプラント周囲骨に及ぼす影響についてはこれまで明らかにはなっていないことが多く、特にインプラントのリスクファクターの一つである糖尿病との関連についての報告はない。本研究ではオッセオインテグレーション獲得後における糖尿病の発症がインプラント周囲骨に及ぼす影響を検討した。まず、4週齢Wistar系雄性ラット大腿骨にチタン製インプラント(2mm×2mm)を埋入した。埋入後の除去トルクおよび、骨代謝マーカーの変化を検討することで、インプラントオッセオインテグレーションモデルの作製を行った。次に、オッセオインテグレーションモデルの有効性を確認するため、インプラントオッセオインテグレーション獲得後、ビスフォスフォネート製剤を1か月間投与したところ、投与直後では、コントロール群と比較して、有意な除去トルクの増加および骨吸収マーカーの低下が認められた。このことより、本研究にて作製したインプラントオッセオインテグレーションモデルでは、オッセオインテグレーション獲得後の変化の検討が可能であると考えられた。最後に、インプラントオッセオインテグレーションモデルにおいて、オッセオインテグレーション獲得後、ストレプトゾトシンの投与を行うことで、糖尿病の発症を行った。糖尿病発症後、3か月にてインプラントの評価を行ったところ、実験群ではコントロール群と比較して有意に高い血糖値を示した。しかし、一方で、インプラント除去トルク等に有意な変化は認められなかった。本研究の結果、インプラントのリスクファクターの一つでである糖尿病の発症によるインプラント周囲骨への影響は短期的には少ないと考えられた。
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