2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792078
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
綿本 隆生 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60420444)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カンジダ / 抗真菌剤 / 小分子化合物 / バイオフィルム |
Research Abstract |
抗真菌作用を有する新たな小分子化合物を探索するため,1280種の薬理活性を持つ小分子化合物ライブラリーであるLOPAC1280を用い,カンジダに対する抗真菌性のスクリーニング検査を行った.その結果,抗真菌作用を有する35個の小分子化合物が検出された.そのうち26個は静菌的作用,9個は殺菌的作用を有し,中でもBay11-7082,Bay11-7085,Ellipticine,Sanguinarine,CV-3988は強い抗真菌作用を有しており,新たな抗真菌剤の候補として検出された.これらの小分子化合物に対し,「浮遊培養」,「付着培養」,「バイオフィルム培養」における抗真菌剤感受性テストを行った結果,「浮遊培養」に対する50%最小発育阻止濃度は,Bay11-7082,Bay11-7085とEllipticine,Sanguinarine,CV-3988はそれぞれ15.6 μM,3.91 μM,1.95 μM,7.81 μMであった.「付着培養」に対するMICは,Bay11-7082とBay11-7085,Ellipticine,Sanguinarine,CV-3988はそれぞれ125 μM,31.3 μM,125 μM,62.5 μMであった.「バイオフィルム培養」に対するMICは,Bay11-7082,Bay11-7085,Ellipticine,SanguinarineとCV-3988はそれぞれ1 mM,500 μM,62.5 μM,250 μMであった. 次に,ヒト歯肉線維芽細胞に与える影響を検討した結果,培養4日目まではBay 11-7082 とBay 11-7085,Ellipticine,Sanguinarine,CV-3988はそれぞれ15.6 μM,3.91 μM,1.95 μM,250 μM未満の濃度では細胞の増殖抑制を認めたが,細胞の死滅は認めなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の通り、カンジダアルビカンスに対し抗真菌作用を有する小分子化合物の成功したため。さらにそれらのカンジダバイオフィルムに対する効果およびヒト歯肉線維芽細胞に対する効果を評価し、良好な結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗真菌性を有する義歯床用材料の作製を行う.義歯床用材料にはジウレタンメタクリレート(Sigma)にメタクリル酸(Sigma)を10%配合し,重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(Sigma)を用いる.それらを70℃で3時間重合を行い,直径13mm,厚さ1mmの円盤状試料を作成する.最終的に検出された小分子化合物溶液中に試料を24時間浸漬し,その表面に小分子化合物を結合させる.さらに試料表面の小分子化合物は5%エチレンジアミン四酢酸(EDTA,Sigma)に8時間浸漬し,除去を行う.カンジダに対する抗真菌作用はディスク拡散法を応用し,義歯床用材料(浸漬なし,浸漬後,EDTA浸漬後)が形成する菌発育阻止円の測定を行い評価する.さらに義歯床用材料の物性、小分子化合物の徐放性の評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画通り、消耗品の購入および研究の成果発表かかる経費に使用する予定である.
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