2012 Fiscal Year Research-status Report
歯の接触感覚に関する心理物理学的計測方法の確立と臨床応用
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24792082
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森本 雄太 岡山大学, 大学病院, 医員 (70622140)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯 / 接触感覚 / 撃力 / 認知閾値 / 歯科生理学 |
Research Abstract |
本研究では、歯に加わった外力に対する歯の接触感覚情報を客観的に評価できる計測方法を確立し、歯の接触感覚の特性を明らかにするとともに、その臨床応用を目指すことを目的としている。本年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に基づき、歯の接触感覚計測装置の開発および感覚閾値標準値の検討を進めた。装置開発コンセプトであるタッピングによる患者の咬合感覚を擬似的に再現することを想定し、計測装置は瞬間的に働く力を歯軸方向と平行に与える構造とした。また、コンピュータ・プログラムを用いて、刺激の大きさを自動的に制御できるようにし、計測が術者の技量に左右されないようにした。さらに、装置を可及的に小さくし、実験室ではなく、チェアーサイドでの臼歯の閾値計測を可能とした。感覚研究では、他の感覚が結果に影響を与えることが考えられる。本研究では、聴覚による情報に対しては、被験者にノイズキャンセリング・ヘッドホンを装着し、視覚的な情報に対しては、ディスプレイを用いることで対応した。 引き続き、開発した装置を用いて、5名の被験者に対して、予備実験を行ったところ、およそ20~70mNの範囲で歯の接触感覚閾値データが得られた。1952年にManly RSらが行った研究では上顎第一大臼歯の閾値は歯軸方向において80~100mNと報告されている。本研究における予備実験で得られたデータと比較しても、おおむね類似した結果が得られており、与えた刺激方法や計測方法に違いはあるものの、歯の接触感覚閾値を既存の装置よりも簡潔かつ客観的に捉えることができていると思われる。 次年度は、臼歯での計測をより簡便にするため、開発中である装置をさらに小型化し、提示刺激のコントロールを検討する必要があり、まずは装置の開発を引き続き進めていかなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究実施計画において、本年度は歯の接触感覚計測装置の開発および感覚閾値標準値の検討を行うこととした。研究実績の概要で記載したとおり、歯に加わった外力に対する歯の接触感覚情報を客観的に評価できる計測方法を確立することを目的とした装置開発コンセプトに準じた装置を開発した。臼歯での計測における装置の操作性から、より小型化を目指す必要があると思われるが、現時点で開発した装置を用いた歯の接触感覚計測では、過去に発表された論文と比較的類似した結果が得られており、また主観的に判断していた既存の装置を用いた計測方法ではなく、実験者の意思が影響しない客観的な計測方法を確立しつつあることから、研究実施計画において、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度で開発した歯の接触感覚計測装置および計測方法をより精度の高いものにする必要がある。具体的には、計測装置の小型化と刺激方法の検討、被験者の感覚のコントロールを含めた計測環境の整備である。また、引き続き、健常者を対対象として、歯の接触感覚閾値の標準値を検討する。さらに、交付申請書に記載した研究実施計画において平成25年度に計画している、歯の接触感覚の本態およびメカニズムの検討、つまり有髄歯および無髄歯での感覚計測、機械的負荷前後の歯の感覚計測についても、順次実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、以下の項目に基づき、使用する予定である。 1.歯の接触感覚計測の計測および解析装置開発 :歯の接触感覚計測をより客観性および再現性の高いものにするために、それに関連した機器および機材、部品を購入する。 2.学会参加経費 :研究課題に関連した学会に参加し、情報の収集および研究結果の報告を行う。
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Research Products
(3 results)