2012 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼刺激が脳梗塞後の抗酸化能低下の回復に及ぼす影響
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24792099
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
川西 克弥 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10438377)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 咬合 / 咀嚼 / 脳梗塞 / アスコルビン酸 / クロマトグラフィー |
Research Abstract |
本年度は脳梗塞モデルラットの作製と高速液体クロマトグラフィー(HPLC-ECD法)による脳内アスコルビン酸の定量を行った。 脳梗塞モデルラットの作製には8週齢Wistar/ST雄性ラットを用いた。2%イソフルラン麻酔下において右側外頚動脈を切断し、その切断面から4-0ナイロン糸を加工した栓塞子を右側中大脳動脈起始部に向けて挿入し、その血流を永久的に遮断した。梗塞後2時間が経過した時点で、脳梗塞による感覚運動機能障害を評価した。その結果、障害程度が安定したモデルラットの供給が可能となった。また、脳内アスコルビン酸の定量化を行うための予備実験を行い、手技の確立と測定条件を整えた。 次に、脳梗塞モデルラットの同一個体の脳を右(梗塞側)と左(健常側)に分割し、一定期間経過時における脳内アスコルビン酸の変化を測定した。その結果、脳梗塞発症後24時間経過時において、健常側(2.60±0.31μmol/g)と比較して梗塞側(1.80±0.32μmol/g)でのアスコルビン酸量が有意に低下していることが明らかとなった(p <0.05)。また、8週経過時においても同様の結果が得られた(p <0.05)。一方、対照群として健常ラットの同一個体の脳を右(健常側)と左(健常側)に分割し、脳梗塞モデルラットと同様の条件にて測定した結果、左右差は認められなかった。 脳梗塞による虚血・再還流障害は、脳内のミトコンドリア機能不全によりアスコルビン酸やグルタチオンなどの抗酸化物質の減少に伴う酸化ストレス状態を引き起こすことが報告されている。本研究結果においても脳梗塞モデルラットにおける同一個体での脳内抗酸化能の差異が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高速液体クロマトグラフィー(HPLC-ECD法)の測定条件の決定にやや時間を費やしたが、脳梗塞モデル作製も比較的安定して供給できていることから、当初の計画通り概ね順調に研究を遂行することが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、咬合・咀嚼が脳梗塞後遺障害後の抗酸化能の低下に与える影響について、実験群(咀嚼刺激群)と対照群(無刺激群)との2群を設定し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC-ECD法)を用いて比較検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費には、まず、咬合・咀嚼刺激のための実験群(咀嚼刺激群)と対照群(無刺激群)との2群を設定するため、脳梗塞モデルラット作製のための動物および手術関連物品の購入に充当させる。つぎに、人為的な咀嚼刺激として、電気刺激を与えるための機器購入に充当させる。また、これらの測定条件下における抗酸化能の低下を測定するため、高速液体クロマトグラフィー(HPLC-ECD法)に関連する分析機器の消耗品等の購入に充当させる予定である。
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