2012 Fiscal Year Research-status Report
歯冠・歯列形態のデータベースおよびCAD/CAMに応用する統計解剖モデルの構築
Project/Area Number |
24792121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
井川 知子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (70552389)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 計算解剖モデル |
Research Abstract |
本研究は歯列模型より得られる歯冠・歯列形態を三次元情報としてデータベース化し,形態の統計解析から標準化モデル(計算解剖モデル)を構築する.個々にバリエーションのある歯冠・歯列形態をモデル化することから,CAD/CAM システムにおいて,患者個々の審美・機能的形態に対応する補綴装置の製作が容易に行えることを目的とする. 平成24年度における当初の計画はデータの収集および三次元再構築画像の製作および精度検証などであった.しかし,三次元再構築画像の製作には精度が求められ,様々な条件設定やデータの容量,計測ピッチ計測方法などが存在することから,本研究に適したデータの構築が必要となる.データ形式の決定のためには各歯種における解剖学的特徴点の抽出のための統計処理(主成分分析)を行うソフトウエアが必要であったが,ソフトウェアの完成には形態の特徴点を数学的に解析するアルゴリズムの選択および開発が必要となり,本年度は試行錯誤的に開発を行っていたため,データ形式の選択まで行うことが困難であった.そこで本年度は平成25年度以降に予定していたデータベースの構築(データ管理とバックアップシステム):三次元再構築画像は個人情報であるため専用PC にてデータ管理を行う.データベースにはバックアップシステムを設け,さまざまな原因で失われる可能性のあるデータを保護する.データベースには上顎歯列模型,下顎歯列模型,咬合状態の形態データ,および年齢,性別,疾患の有無,疾患の種類を記録し,それぞれにおける形態の比較を行える環境を設定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成24年度 被験者のデータ採取(研究用模型の作製) アルジネートもしくはシリコーン印象にて採得された印象をもとに,研究用模型を製作する.次に,研究用模型を三次元表面形状測定装置にて三次元再構築像を作製する.被験データは,個々の歯,歯列,並びに上下の対合関係の再現が可能である. 三次元再構築画像の製作および精度検証 得られた研究用模型のデジタルデータは,三次元的な座標を有し,これにポリゴンを生成することで三次元再構築データとすることが一般的である.しかし,そのデータは個々のデータの容量により,そのデータベース総容量が決定する.したがって,使用目的に応じたデータ採得が重要となるため,計測ピッチ,計測方向と回数,Aling とMarge などの条件設定の検討が必要となる.これらの条件を抽出後,個々のデータの容量を決定する. 実際には平成25年度以降で予定していたデータベース(データ管理とバックアップシステム)の構築を行い,各歯種における解剖学的特徴点の抽出のための統計処理(主成分分析)に着手した.当初の計画であったデータの採得は行っていないが,平成25年度以降の計画を行ったためやや遅れている感はあるものの,おおむね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画であったデータの採得および三次元再構築画像の製作および精度検証を行うと共に本年度より着手している各歯種における解剖学的特徴点の抽出のための統計処理(主成分分析)についての研究を行う.主成分分析は,多変量(多次元ベクトル)の持つ情報を少数個の特性値に要約することのできる数学的手法である.あらゆる形状を含む三次元空間から歯冠形態が占める定義域を決定する.その定義域において表現される歯冠形態の確率分布を近似できるかが,標準化モデルの精度となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記,研究計画を遂行するためデジタル記録媒体および統計解析ソフトなどのソフトウェアおよびソフトの開発における費用が必要となる.また,本研究課題のような計算解剖学は多岐にわたる分野で使用されているにもかかわらず,医療分野での研究は少ないといわざるを得ない.さらに専門的な数学の知識を必要とするため,他大学への訪問および多くの学会へ参加し,技術・情報の収集が欠かせないと考えている.
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