2013 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症の予防や治療を目指した結合組織成長因子発現制御ペプチドの探索と評価
Project/Area Number |
24792142
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笈田 育尚 岡山大学, 大学病院, 医員 (50625720)
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Keywords | CCN2 / Harmine / β-カルボリン / 軟骨細胞 / 軟骨再生 |
Research Abstract |
結合組織成長因子(CCN2)は,軟骨細胞の増殖・成熟及び基質合成を促進し,軟骨特異的CCN2過剰発現マウスにおいては膝関節軟骨の加齢性変化に抵抗性を示す事や,実験的変形性関節症モデルの関節腔内にCCN2を投与すると関節軟骨を修復できる事が報告されており,CCN2は変形性関節症の予防や治療に有効であると考えられている.そこで本研究では,変形性関節症の予防・治療を目的に,CCN2の発現を亢進する新規化合物を網羅的に探索し,その機能解析を行った. スクリーニング実験では,ヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞株(HCS-2/8)を使用し,86種類のオーファンリガンドで刺激し,培地中のCCN2のタンパク量をELISA法にて定量した.細胞への毒性は,MTS法およびLDH毒性試験にて検討した.その結果,小分子化合物であるHarmineがCCN2の発現を上昇させる唯一の分子として同定され,5 nMの濃度では,細胞増殖を抑制するも,細胞毒性は認めず,軟骨分化を促進した. 次にHarmineの軟骨分化に与える効果を検討する為,CCN2,Sox-9,Aggrecan,Col2α1の遺伝子発現レベルをreal time RT-PCR法にて定量した.その結果,Harmineは Sox-9,Aggrecan,Col2α1の遺伝子発現量を増加させた.また,軟骨前駆細胞であるATDC5を使用したmicromass cultureにおいても軟骨分化を誘導した.最後に,炎症環境における効果を評価する為 TNF-αで刺激し,同様の実験を行った.その結果,Harmineは抑制されたCCN2や軟骨マーカーの遺伝子発現量を改善した. 以上の結果より,CCN2の発現を促進する因子として同定されたHarmineは軟骨分化促進作用,抗炎症作用の双方を持ち合わせる変形性関節症の予防,治療に有用な分子である可能性が示唆された.
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