2012 Fiscal Year Research-status Report
生体親和性を向上するアバットメント表面処理方法の確立
Project/Area Number |
24792146
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
尾立 哲郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70513167)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | インプラント |
Research Abstract |
インプラントアバットメントは色調ならびに形態的審美性付与のため、CAD/CAM法をはじめとするカスタムアバットメントが頻用されている。本来軟組織を貫通し、バイオロジカルシールを担うアバットメントは純然たる生体材料として扱われるべきであり、表面の汚染を伴う技工操作が不可欠なカスタムアバットメントにおいては、いかにそれを生体材料の域に押し上げるかが重要である。 本研究では手指や様々な研磨材料により汚染されたアバットメント表面を,臨床医がアクセス可能な方法でクリーンな状態にすること、さらにアバットメント材の持つ本来の優れた生体適合性をもたらすことが出来る表面処理方法を見いだすことを目的としている。 技工操作を想定して、ジルコニアディスクを専用の研磨剤にて研磨した(汚染群:Positive control)。その後、エタノール、アセトン、試作タンパク分解酵素溶液、真空紫外線VUVによる光洗浄(UV/O3)、真空プラズマ照射による洗浄を行い実験群とした。また、既報を参考に耐水研磨紙にて表面研磨後、50µmアルミナサンドブラスト処理を行った物も実験に供した(未汚染群:Negative control)。抗ケラチン抗体を用いた免疫染色を行い、手指表面に存在するケラチンが、技工操作を経て試料表面にどれだけ付着しているかを測定した。また、X線光電子分光分析を行い、試料表面に存在するC1sのpeak intensityを評価した。 その結果から、研磨後のアバットメント表面には相当量の手指表面に由来するタンパク質であるケラチンが付着していることが示された。また洗浄方法として、タンパク分解酵素溶液、真空紫外線VUVによる光洗浄、および真空プラズマ照射が効果的であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、洗浄液の試作と真空紫外線VUV、真空プラズマによる洗浄効果を抗ケラチン染色により評価することを予定していた。洗浄液の試作が順調に進み、効果的な洗浄方法とその組み合わせが確立された。計画を前倒しして、X線光電子分光分析につても行うことができ、peak intensityを評価することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、エネルギー分散型X線分析を行い、洗浄前後の元素分布状況を測定している。データがそろった時点で、研究成果を論文にまとめる予定である。その後、線維芽細胞を使用したin vitroでの、洗浄効果に対する試験を開始する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
洗浄液の試作が順調に経過し、有効な洗浄方法が早期に確立されたため本年度の予算に残金が生じた。次年度の予算と合わせて、現在行っているエネルギー分散型X線分析、論文投稿の際の英文校正費用等に使用する予定である。
|