2012 Fiscal Year Research-status Report
超急速凍結とアクアポリン発現による幹細胞の選択・濃縮
Project/Area Number |
24792152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 靖浩 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40398780)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオ関連機器 |
Research Abstract |
従来型のCO2インキュベータによる単一ガス濃度環境下での培養は、様々な細胞が混在して培養され、その集団の中からマーカー抗体を用いて目的の細胞を回収する必要があるため、特定の性質を持った細胞の培養効率や細胞回収率の低下、さらには癌化の問題など安全性が危惧されていた(Ann. Cancer Res. Therap. 16: 8-11, 2008)。これまで、科研費若手B 「マルチガス環境構築によるニッシェ環境」において、従来型CO2インキュベータから脱却した個別培養システムを開発し、口腔幹細胞を選択的に培養できる培養環境を構築した。 特定の環境下で培養された細胞をマーカーを用いることなし選択・濃縮できるのか、また、凍結時の障害要因となる氷晶を如何に防止し、細胞膜障害の原因となる浸透圧差を軽減させることが、より良い細胞保護液に求められている。 そこで本年度は、主に水透過に関わるAQP4の関与を確かめるために、CHO細胞にAQP4を安定発現させた細胞株と発現させていない細胞株を10%DMSOと混合し、液体窒素内で瞬間凍結させた。数日間液体窒素に保管後融解し生細胞の割合を算出する。細胞の生死には、細胞膜障害の有無を染色によって判定できるトリパンブルーを用いて行う。また同時に融解後の細胞を培養し、細胞接着率から凍結保護剤の細胞毒性を行った。 AQP安定発現細胞を用いて検証した。その結果、耐凍性を獲得する上で、AQPの発現が関与していることを明らかにした。また、割合の異なるAQP発現細胞と未発現細胞を混合培養した細胞群から特性の細胞を選択できることを明らかにした(論文投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね、当初の計画通り進んでいる。また、実験手法ならびに物品調達の最適化によって、研究に関わる時間とコストを削減した。現在、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で明らかになった現象を論文投稿によって広く周知させる。それによって、様々な分野への波及効果が期待されるため、より早く成果を達成するために研究補助員(人件費)を雇用して、研究を進める予定である。 既に特定細胞を培養できる環境を整えいるので、昨年度明らかにした細胞選択性の現象をより具体的な細胞を用いて、特定の細胞のみ選択・濃縮可能であるか明らかにする。 また、論文投稿準備中であるので、投稿が決定次第その成果をより広く周知し、応用方法の実証試験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は、旅費を別の資金との合算による削減、消耗品の効率的な物品調達による結果であり、翌年度の消耗品ならびに実験補助の人件費に充てる予定である。
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