2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能性を付与した支台築造用コンポジットレジンの開発
Project/Area Number |
24792156
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内田 僚一郎 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10623960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フッ素徐放性モノマー / 歯質強化 / 脱灰抑制 / コンポジッレジン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、機能性を付与した支台築造用コンポジットレジンの開発を当初の目的とし、これまでにフッ素徐放性モノマー(PEM-F)を添加したコンポジットレジンを試作して曲げ試験を行い、PEM-Fの最適な添加量およびフッ素徐放量について明らかにした。つぎに、う蝕原因菌を用いた抗菌性試験を行い、MIC(最小発育阻止濃度)を測定し、抗菌機能に必要なフッ素イオン濃度を検討した。その結果、MICは362 ppmであり、試作コンポジットレジンのフッ素徐放量は1日0.1~1 ppmであるため、抗菌性の機能付与は困難であることが判明した。そこで本年度は実験計画を変更し、低濃度のフッ素イオンにおける歯質への影響に着目した研究を行った。 低濃度のフッ素イオンによる歯質強化として、フッ素イオンのエナメル質への取り込みによる耐酸性の向上が挙げられるが、フッ素イオンの濃度によっては斑状歯が生じる可能性もある。本年度はPEM-Fの安全かつ歯質強化に有効なフッ素徐放量を検討するため、異なる濃度のフッ化ナトリウム溶液(0.1 ppm, 1 ppm, 10 ppm, pH 7.0)に一定期間(10, 20, 30日間)浸漬したウシエナメル質に脱灰処理(0.2 M酢酸緩衝液, pH 4.4, 48時間)を行い、耐酸性の向上による歯質強化機能を検討した。脱灰相当部は走査型電子顕微鏡による形態観察、およびマイクロCTによるカルシウム塩の計測を行い、フッ素イオンの濃度における歯質強化能について評価した。その結果、浸漬期間およびフッ素イオン濃度が高くなると脱灰抑制効果が向上し、さらに本実験では斑状歯の発生も認められなかった。 以上の結果から、PEM-Fをコンポジッレジンに添加することで安全に歯質強化機能を付与できることが示唆され、この結論を踏まえながら新たな機能性を付与したコンポジッレジンの開発に今後は繋げていく次第である。
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