2012 Fiscal Year Research-status Report
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24792167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 学 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (40613998)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌化学療法 |
Research Abstract |
今年度はまず、セレニウム化合物のアポトーシス誘導機構について解析を進めた。 口腔癌細胞株(HSC-3,HSC-4)、肺癌細胞株(A549)において、様々なセレニウム化合物(Se-methylselenocysteine、selenomethionine、selenite)処理で濃度依存的、時間依存的に増殖抑制効果が認められ、さらに、TUNEL assayにてアポトーシス誘導を解析したところ、アポトーシスの誘導が認められた。特にHSC-3におけるselenite処理では顕著なアポトーシス誘導効果が認められた。同条件下でcaspase活性を解析したところ、ミトコンドリア経路に関与するcaspase-9および小胞体ストレスに関与するcaspase12の活性化が認められ、汎カスパーゼ阻害剤によりアポトーシス誘導効果が抑制された。さらに、小胞体ストレスに関与しているeIFのリン酸化を解析したところ、selenite処理で有意にeIFのリン酸化が認められた。 また、血管新生に大きな役割を持つVEGF-A、HIF-1αの発現について解析したところ、これらの発現が有意に抑制されていることが分かった。 以上のことから、セレニウム化合物(特にselenaite)は口腔癌に対してアポトーシス誘導効果を示し、それにはミトコンドリア経路、小胞体ストレスが大きく関わっていることが示唆された。さらに、セレニウム化合物の癌血管新生抑制効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の計画として挙げた5つの項目①in vitroにおける血管新生抑制効果の評価 ②低酸素下でセレニウム化合物が細胞の生存に与える影響 ③HIF-1活性の測定 ④HIF-1関連タンパクおよびHIF-1αシグナル経路の解析 ⑤低酸素領域でのミトコンドリアの役割のうち4項は達成しており、計画に沿って進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、低酸素条件下でのセレニウム化合物のアポトーシス誘導効果、血管新生抑制効果の解析および既知の抗癌剤との比較を行う。さらに、腫瘍転位モデルマウスを確立し、in vitroのプロトコールを参考にしてin vivoでの移植腫瘍細胞の増殖、血管新生、リンパ節転位に対するセレニウム化合物の効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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