2013 Fiscal Year Research-status Report
痛みによるストレス反応を客観的にとらえる指標の検討
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24792169
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗原 淳 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10508899)
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Keywords | プロテアーゼ活性化受容体 / 肥満細胞 / トリプターゼ |
Research Abstract |
近年、術後疼痛の発生機序の一つとして肥満細胞の関与が報告されてきている。皮膚や粘膜下組織に存在する肥満細胞が種々の刺激により脱顆粒すると、ヒスタミン、セロトニン、トリプターゼ、血小板活性化因子(PAF)等のケミカルメディエーターが放出される。このうちトリプターゼは、一次求心性線維の自由終末に存在するProtease-activated receptor -2 (PAR-2) に結合し、活性化させることによって神経性炎症が惹起される。そこで今回、肥満細胞とPAR-2ならびに術後痛との関連を調べるため、以下の実験を行った。 1. 吸入麻酔による全身麻酔下にPAR-2のagonistであるSLIGRL-NH2を100μMおよび1mM 100μLにてラット足底に注射する。 2. 注射後、30分、1時間、2時間、4時間、1日、2日、4日、7日において、自発痛、機械刺激、熱刺激、冷刺激を与えて痛覚過敏の状態を観察し、コントロール群比較する。 これによって、以下の結果を得た。 自発痛は、1mM SLIGRL-NH2にて惹起されたが、その反応は注射後15分以内でほぼ消失した。機械刺激による逃避行動は、注射後1日まで過敏化していたが、それ以降は術前値と変わらなかった。熱刺激による逃避行動の過敏化は、注射後から4日後まで続き、7日後に消失した。冷刺激による逃避行動は観察できなかった(実験方法が適切でなかった)。これらはPAR-2を介して種々のTRPチャネルを活性化している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
●ヒトを対象とした臨床研究における、αアミラーゼ活性と血清マロンジアルデヒドと痛み度との相関関係においては、ある程度傾向はつかめたものの、定量化には至らなかった。今後も継続して検討が必要と思われる。平行して今年度はラットを用いて術後痛発症のメカニズムの解明を主として研究を行い、肥満細胞とPAR-2の術後痛におけるある程度の結果が得られた。これらの研究については、歯科麻酔科の協力の下行った。
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Strategy for Future Research Activity |
●臨床研究におけるαアミラーゼ活性と血清マロンジアルデヒドと痛み度との相関関係に関しては、ヒトを対象としてさらに症例数を増やし、相関関係の検討を継続して行う。また、前年度のPAR-2に関連した術後痛発生機序解明を、ラット術後痛モデルを用いて、antagonist・agonistなどを使いながら行っていく。これについては歯科麻酔科の了承を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
PAR-2のantagonistの使用による研究を予定しているため、次年度使用額においてラットやラット飼育代、ならびにPAR-2受容体のantagonist・agonistを購入予定である。 学会旅費 物品費(ラット購入・飼育代 試薬代) 臨床研究における薬剤代 αアミラーゼ活性測定用チップならびに血清マロンジアルデヒド測定用キット代
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