2013 Fiscal Year Research-status Report
炎症性刺激を活用した新規の骨修復・再生治療法の研究と開発
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24792170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
逸見 晶子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40613055)
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Keywords | 骨欠損修復 / 炎症 / 石灰化 / 歯学 / NF-κB |
Research Abstract |
本研究は、ラット頭頂骨規格化骨欠損モデルを利用し、修復が不完全のまま停止し残存した骨欠損に新たな炎症を与えることで、骨修復が再開して残存した欠損が治癒するか否か、また、骨欠損修復における炎症性サイトカインの役割を調べることを目的に実験を進めている。 これまで、骨の修復過程について詳しい知見を得るため、ラット頭頂骨に規格化骨欠損を作製し、修復骨の石灰化について検討した。修復骨の骨密度と構成元素の分布および濃度を解析した。その結果、修復骨の骨密度は術後週齢が増すに従い上昇することが分かった。また、修復骨におけるカルシウム(Ca)の元素分布はリン(P)の元素分布にほぼ対応し、炭素(C)の元素分布とは相補的であった。術後週齢が増すに従い、CaとPの元素分布はその範囲を拡大し、Cの元素分布は縮小した。また、術後週齢とともに元素濃度比Ca/Pは上昇した。修復骨の骨基質は、始めは石灰化が未熟な状態であるが、骨修復が進むにつれて、徐々に石灰化が進み成熟した骨基質に近づくという、骨の修復過程についての新たな知見が得られた。 本年度は、これまでの研究成果をまとめ、Oral Diseases に投稿し、受理された。 現在、骨欠損修復における炎症性サイトカインの役割を調べるために、規格化骨欠損モデルにデコイ核酸を適応してnuclear factor-kappa B(NF-κB)を阻害し、NF-κBに発現を支配される炎症性サイトカイン(IL-1やTNF-α等)の作用を一括して抑制する実験系の確立を目指しているが、現在これに関連して、本実験に適切な骨欠損の大きさを決定するための予備実験を行っている。また、デコイ核酸を浸潤させるコラーゲン担体の適切な大きさ、形状、厚み等を検討するための試作品の作製を業者に依頼している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災で被災した研究棟の改修工事のため、平成25年9月に仮設研究室に移転した。移転準備などのために時間を要したため、また、仮設研究室では実験設備が十分には整っていないため、本研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在試作品を依頼しているコラーゲン担体を用いた予備実験を行い、本実験に適切な大きさ、形状、厚み等を決定後、デコイ核酸を用いた炎症抑制実験系の検討を行う予定である。同時に、完全には修復されない大きな欠損(一次欠損)モデルについての検討を行い、その後、一次欠損の修復停止後に残存した欠損より大きい欠損(二次欠損)を作製し、二次欠損修復についての検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、東日本大震災で被災した研究棟改修のために生じた遅延に伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)