2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌に対するマイクロRNA感受性腫瘍溶解性ウイルスの開発
Project/Area Number |
24792175
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 謙悟 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70451755)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 腫瘍溶解性ウイルス / マイクロRNA / 癌 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍溶解性ウイルスであるシンドビスウイルスをより安全に口腔癌治療へ応用するために、正常組織ではmiRNAにより増殖抑制される「miRNA感受性シンドビスウイルス(miRNA感受性SIN)」の開発を目的としている。まず、正常組織に対し口腔癌で発現減弱しているmiR125bのターゲット配列をクローニングした。ターゲット配列は2回繰り返したものを作製し、すでにクローニングしてあるシンドビスウイルスプラスミド(pSIN)の3’UTRへ組み込んだ。次にリバースジェネティクス法に基づき、インビトロ転写によりmiR125b感受性SINRNAを作製し、Vero細胞へ導入を行い、miR125b感受性SINが発現することは確認した。しかし、回収量が極端に低下した。その原因がインビトロ転写用プロモーターからSINの5末端開始コドンまでにあるベクター自身の配列にあることが分かり、元のpSINを改変し、回収量を改善させた。次に、miR125bをトランスフェクションした癌細胞株、正常組織細胞株、癌細胞株で125miRNA感受性SIN の増殖性、細胞傷害性を検討した。その結果、正常細胞株では元のSINを感染した場合と差は無かった。元来正常細胞株ではSIN増殖率と細胞傷害性は低いことから、別の有力な抑制機構が有意に働いている可能性を考えた。また、癌細胞株に対し、miR125bをトランスフェクションした癌細胞株では、細胞傷害性の減少は認めたが小さかった。理由とし、miRNAのターゲット配列が短いことや挿入位置によるターッゲット効率が低いことが考えられた。以上、今年度はmiRNA感受性SINの作製とその評価方法を確立できた。今後、別のmiRNA感受性SINやターゲットの改良を行うことで、治療用の安全で効果の高いmiRNA感受性SINが開発できることが示唆できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNA感受性シンドビスウイルスの作製し、癌細胞株や正常細胞株におけるウイルス増殖性や細胞傷害性の評価をする事が可能になった。しかし、miRNAターゲット配列の挿入により、リバースジェネティクス法の段階でウイルスの発現減少がおこることが予想できておらず、その原因の解明と元のシンドビスウイルスベクターの改良のために計画の進行が遅れた。そのため、挿入するターゲット配列を改良した場合のmiRNA感受性シンドビスウイルスの検討が十分でなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、別の候補(let7、miR100、miR-222)であるmiRNA感受性ウイルスの作製を行い、正常組織細胞株、癌細胞株でウイルスの増殖性、細胞傷害性を評価する。各miRNA 感受性シンドビスウイルスにおいては、ターゲット配列の繰り返し数と3’UTR内での挿入位置を変えたmiRNA感受性ウイルスを作製し、それぞれ評価する。以上の結果から細胞株において安全で腫瘍溶解性の高いmiRNA感受性シンドビスウイルスを選定する。その後、担癌マウスを作製し、miRNA感受性シンドビスウイルスを静注後、腫瘍溶解性ウイルスとしての治療効果を判定する。また、癌部と正常臓器からウイルスを回収し、ウイルスの集積性を検討する。最終的に、最も安全で腫瘍溶解性の高いmiRNA感受性シンドビスウイルスを決定する。今後の問題点として、ターゲットの繰り返し配列により遺伝子の構造変化が起こり、ターゲット配列の作製方法の再検討や、ウイルスの発現量へ影響への対応を予測している。よって、効果の判定をしながら繰り返し数を決める必要がある。また、改変ウイルスであるためリバータントが出現す可能性がある。そのため、miRNA感受性シンドビスウイルスを感染し回収したウイルスを再度感染することを繰り返し行い、その都度ウイルスのシークエンスを行い変異の有無を調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|