2012 Fiscal Year Research-status Report
BRONJに伴う口腔粘膜創傷治癒不全に対するビタミンB3の治療効果の検討
Project/Area Number |
24792189
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大貫 尚志 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 非常勤講師 (90568552)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | BRONJ / 口腔粘膜上皮細胞 / DNA損傷 / ビタミンB3 |
Research Abstract |
これまで、窒素含有BPのゾレドロン酸(ZOL)が、口腔粘膜上皮細胞のDNA損傷を引き起こし、ユビキチンプロテアソームシステムが活性化され、細胞周期調節たんぱく質分解によってS期細胞周期停止を引き起こすために上皮細胞の増殖能の抑制および上皮組織再生能の低下を起こすことを明らかにした。水溶性ビタミンB3(ナイアシン)であるニコチン酸とニコチンアミドは、NADの前駆体で、生体内でNADに変換される。ナイアシン投与により核内NADレベルが高まればDNA修復が促進されることが期待できるため、ニコチン酸とニコチンアミド投与によりDNA損傷を軽減することで、口腔粘膜の生物学的活性を維持できるかどうか検討を行った。 ZOLの濃度は有意に細胞増殖能を低下させる10μMとした。初めに、ナイアシンを培地に添加して上皮細胞を培養することにより、10μMのZOLによる細胞増殖能の低下が回復するナイアシン濃度をまず初めに設定するため、当初の計画より濃度の幅を大きくし0.01μM、0.1μM、1μM、10μM、100μM、1mM、10mMの濃度で行った。ニコチン酸とニコチンアミドともに1μM-1mMの範囲で細胞増殖能の回復傾向が見られた。しかし、口腔粘膜上皮細胞は個体差も大きく、細胞の継代数による差異、細胞密度による差異が存在し、増殖能回復のバラツキが大きいため、さらなる検討を要する。現在、ニコチン酸とニコチンアミドによる細胞増殖能の回復は明らかな有意差は認められないものの、回復傾向が見られた。これは、ニコチン酸とニコチンアミド投与によりDNA損傷を軽減している可能性が示唆されBRONJ治療薬又は粘膜損傷治癒薬としての可能性が期待されることを意味していると思われる。従ってさらに研究を継続してデータを整理していく必要があると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1年目では、ZOLによる細胞増殖能の低下がニコチン酸とニコチンアミドの添加により回復されるかどうか検討を行い、細胞増殖能の増加が確認された場合には細胞周期の解析と細胞周期調節タンパク発現の検討を行う予定でいた。 現在、ニコチン酸とニコチンアミドの有効濃度の決定にかなりの時間を費やしてしまった。口腔粘膜上皮細胞は個体差も大きく、細胞の継代数による差異、細胞密度による差異が存在し、ニコチン酸とニコチンアミドの有効濃度も変動している。ある程度の傾向は見えるものの明らか有意差はなく、多くの症例の検討が必要となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は1年目の遅れを取り戻すべく、ニコチン酸とニコチンアミドの有効濃度の決定後、有効濃度のニコチン酸とニコチンアミドを培地に添加して上皮細胞を培養し細胞周期調節タンパクの発現の変化と細胞周期への影響に関して検討う。次に2年目に予定していた、3次元培養粘膜の作製を行い、組織学的評価と上皮再生過程におけるDNA損傷細胞(phospho-histone-H2A.X(γ-H2A.X)発現)の減少あるいは消失について確認する。さらに、2次元損傷治癒モデルを用いて上皮細胞の遊走能と細胞周期を関連について検討を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養のための培地、細胞周期調節タンパク発現検討のための抗体や試薬、細胞培養用の器具などの消耗品の購入に使用する予定である。また研究成果について学会発表する予定である。
|