2013 Fiscal Year Annual Research Report
BRONJに伴う口腔粘膜創傷治癒不全に対するビタミンB3の治療効果の検討
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24792189
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大貫 尚志 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教務補佐員 (90568552)
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Keywords | BRONJ / 口腔粘膜上皮細胞 / DNA損傷 / ビタミンB3 |
Research Abstract |
ビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)の発症機構解明のため、窒素含有BPであるゾレドロン酸(ZOL)の作用を明らかにした。それは、ZOLが口腔粘膜上皮細胞のDNA損傷を引き起こし、その結果ユビキチンプロテアソームシステムが活性化され、細胞周期調節タンパク質が分解することによりS期細胞周期停止を引き起こすために上皮細胞の増殖能の抑制および上皮組織再生能の低下が起こることを明らかにした。水溶性ビタミンB3(ナイアシン)であるニコチン酸とニコチンアミドは、NADの前駆体で、生体内でNADに変換される。ナイアシン投与により核内NADレベルが高まれば、DNA修復が促進されることが期待できる。そのため、ニコチン酸とニコチンアミド投与によりDNA損傷が軽減され、口腔粘膜の生物学的活性を維持できるかどうか検討を行った。ZOL濃度は有意に細胞増殖能を低下させる10uMとした。ZOL添加後、ニコチン酸およびニコチンアミドをそれぞれ0.01uM-10mMの濃度を添加した。どちらの薬剤も細胞増殖能の回復は認めなかった。口腔粘膜上皮細胞の個体差が大きく、細胞によっては回復傾向を有したが、有意差はなかった。そのため、代替薬として、DNA損傷修復能があると報告されているジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて細胞増殖能の回復が得られるかどうか確認した。DMSOの添加する濃度は0.01uM-10mMとした。DMSO添加により、明らかな細胞増殖能の回復は認められなかった。いずれの薬剤においても、細胞増殖能の回復が見られなかったと共に、添加濃度による差がみられなかった。このことから、一旦、重度なDNA損傷を生じた細胞は、DNA損傷修復作用がある薬剤を添加したとしても、修復過程が働かないことが示唆された。これは、臨床的にBRONJが難治性であることを類推させる結果であると考えられる。
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