2012 Fiscal Year Research-status Report
培養細胞由来の細胞外基質を用いた放射線性骨髄炎の治療法の開発
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24792198
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
土屋 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20569785)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線性骨髄炎 |
Research Abstract |
放射線正骨髄炎モデルとして、過去の文献に沿って大腿骨に30Gy照射したのちに、組織学的解析を行なったところ、骨芽細胞と骨細胞の崩壊か認められた。放射線照射8週後では、骨周囲の血管の崩壊が認められ、虚血状態に陥っていることが確認された。これらの組織学的解析から放射線性骨髄壊死の状態になっていることが確認された。また、本研究では、細胞外マトリックスに焦点を絞り、放射線正骨髄炎の治療を目指すことを目的としているため、細胞外マトリックスを分解する酵素であるGranzymeBの免疫染色を行なったところ、放射線照射1日目ではその発現が、骨芽細胞、骨組織に認められたが、照射後8週では発現は認められなかった。このことから、放射線性骨髄炎における骨組織の細胞外マトリックスの崩壊は、照射後早期に引き起こされていることが明らかになった。また、GranzymeBは、細胞外マトリックスの中でフィブロネクチン、デコリン、バイグリカンなどの糖鎖タンパクを分解することが知られており、電気泳動で確認したところ、照射後1日目でそれらのタンパク質が分解していることが明らかになった。これらの結果から、放射線性骨髄炎に罹患したの骨の機械的強度の低下は、これら細胞外マトリックスの崩壊によるものであることが示唆された。また、GranzymeBが分解する可能性がある細胞外マトリックスとして、骨シアロタンパク、オステオポンチン、オステオカルシンなどのカルシウム結合タンパク質の分解が可能であるかを検討する。さらに、これら分解した細胞外マトリックスを補充する方法として、細胞移植、培養上清の移植を検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル作製に時間が掛かり、また、実験群のタイムポイントを多めに作成したことにより、かなりタイトなスケジュールとなった。さらに、ターゲットとする因子の選別にも時間が掛かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に行なった研究結果から、GranzymeBが骨髄炎の細胞外マトリックス分解に影響を及ぼしていることが明らかになった。今後は、骨に豊富に含まれているカルシウム結合タンパク質にターゲットを絞り、GranzymeBがそれらタンパク質を分解するかの確認をおこなう。そして、分解したタンパク質の同定を行う。さらに今後の研究は、放射線性骨髄炎の治療を目指した研究を行なっていく。方法は2つあり、ひとつはGranzymeBを抑制する因子を投与すること、もう一つは分解された細胞外マトリックスそのものを投与することである。細胞外マトリックスは、培養細胞の培養液、もしくはリコンビナントタンパクの投与を行う。投与後、組織学的に解析を行い、骨組織内の再生した血管の数、骨細胞の生死を計測し、放射線性骨髄炎の治癒の程度を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画は動物実験が主体であるため、実験動物の購入に大半が当てられる。また、抗体の購入を計画している。
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Research Products
(3 results)