2012 Fiscal Year Research-status Report
シスプラチン耐性口腔癌において抗血管新生薬は生命予後を延長するか?
Project/Area Number |
24792208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石橋 美樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (40412051)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗がん剤耐性 / 抗血管新生 |
Research Abstract |
口腔癌の多くは外科療法が一般的であるが、機能の温存をめざした放射線化学療法などが選択されることもある。しかし、1次治療後に再発をきした多くの症例は治療抵抗性であることが多く、その最も大きな原因となっているのが薬剤耐性である。近年、抗血管新生療法がこのような固形がん1次治療後の再発例に有効であることが示唆されているが、そのメカニズムはほとんどわかっていない。そこで研究の全体構想として、シスプラチン耐性口腔癌における抗血管新生薬の効果について明らかにし、その中で本研究では特にシスプラチン耐性口腔がんの抗血管新生薬投与によるプラチナ系抗がん剤の細胞内への取り込み機構について解明することを目的とした。申請者は予備実験において、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株であるOSC-20細胞、OSC-19細胞、HOC313細胞においてシスプラチンを低濃度から添加し、段階的に増加させ、シスプラチン耐性株を樹立した。耐性株と親株(感受性株)を用い、血管新生因子であるVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2の活性化の違いをWesternblotting法で比較検討した。その結果、シスプラチン耐性細胞では感受性細胞と比べて、有意に強くVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2が活性化していることが示された。この結果は、シスプラチン耐性口腔扁平上皮癌がVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2をターゲットとした分子標的治療に強い感受性を示す可能性があることを示していると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までシスプラチン耐性ヒト口腔扁平上皮癌株と親株(感受性株)を用い、血管新生因子であるVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2の活性化の違いをWesternblotting法で比較検討した。その結果、シスプラチン耐性細胞では感受性細胞と比べて、有意に強くVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2が活性化していることが示された。この結果は、シスプラチン耐性口腔扁平上皮癌がVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2をターゲットとした分子標的治療に強い感受性を示す可能性があることを示していると言える。したがって、抗血管新生薬のシスプラチン耐性口腔癌に対する効果を証明する第一歩がまず示されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に、in vivoにおいて検討を行う予定であり、それぞれのCDDP 耐性ヒト口腔扁平上皮癌培養細胞をヌードマウス皮下に移植して経時的に腫瘍体積を測定する。また、背部皮下チャンバー法を用いて細胞を移入、7 日目にその局所の皮膚を切り取り顕微鏡で新生血管数を調べ、VEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2 の発現量と比較検討する。また、 化学療法に対する血管新生因子の発現について検討するために、腫瘍の大きさが径5-6mm になった時点で、1)コントロール2)CDDP、CBDCA、L-OHP を経皮的に投与し、それぞれの腫瘍サイズについて検討を行う。 さらに、2000 年から現在までに当科で化学療法を行った口腔扁平上皮癌患者の原発巣および転移巣の病理組織標本、また解剖献体からの正常口腔粘膜標本におけるVEGF、アンギオポエチン1、アンギオポエチン2の発現を免疫組織化学的に検討し、治療効果との関係を比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度で276,675円の研究費が執行されなかったが、今後研究成果を平成25年11月の国内学会で発表することを計画している。この成果発表にかかわる国内旅費に未執行予算を用いる予定である。残額は本年度は上記研究方針で使用する細胞培養試薬、動物、器具、分子生物学実験試薬、抗体などに使用する予定である。
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