2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792216
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
栗尾 奈愛 岡山大学, 大学病院, 医員 (80622141)
|
Keywords | IGF-1R / メトホルミン塩酸塩 / 糖尿病治療薬 / 口腔癌 / 血管新生 |
Research Abstract |
インスリン様成長因子 (insulin-like growth factor;IGF)受容体は様々な癌細胞で高発現しており,IGF-1の結合によるシグナルで細胞生存,増殖経路を刺激し,腫瘍の浸潤増殖に関与している。癌の骨浸潤・骨破壊における腫瘍増殖は破骨細胞性骨吸収による骨基質分解により骨基質中に豊富に蓄えられたIGF-1, TGF-β等の増殖因子によりさらに腫瘍増殖が活性化されるという非常に特徴的な進展様式をとることが知られている。今回我々はまず口腔癌切除標本で癌細胞におけるIGF-1R, IGF-1, mTORの発現亢進を確認し,種々の口腔癌細胞株においてIGF-1,IGF-1R, pmTOR, pS6Kのタンパク発現の亢進とpAMPKの発現が減弱していることを確認した。さらにIGF-1は腫瘍細胞においてAMPKの活性化を抑制し,PI3K/Akt/mTORシグナル伝達系を活性化することを確認し,AMPKの活性化剤として知られるメトホルミン塩酸塩によってAkt,mTOR,S6Kのリン酸化が抑制されることを示した。またIGF-1添加により種々の腫瘍細胞の増殖促進効果ならびにメトホルミン塩酸塩による腫瘍増殖抑制効果をMTTアッセイで確認した。腫瘍細胞にG1停止を惹起することにより,腫瘍細胞をアポトーシスに誘導する可能性をフローサイトメトリー,アポトーシスアッセイで確認した。また腫瘍皮下移植モデルにおいて1mg/kgのメトホルミン塩酸塩の投与による腫瘍増殖抑制効果を確認した。また IGF-1Rの発現抑制がヒト臍帯静脈血管内皮細胞 (HUVEC)のIGF-1により誘導される血管新生を抑制することを血管新生アッセイで確認,また骨破壊モデルにおいてIGF-1R阻害剤を用いた群でCD31陽性細胞数が有意に抑制されたことを確認し腫瘍増殖抑制が血管新生を抑制することによる可能性を確認した。
|
Research Products
(4 results)