2013 Fiscal Year Annual Research Report
E-カドヘリンプロセス分子のNakedDNAを用いた口腔癌遺伝子治療法の開発研究
Project/Area Number |
24792218
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浜名 智昭 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (40397922)
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Keywords | α2ーアンチプラスミン / プラスミン / Eーカドヘリン / Naked DNA / 口腔癌遺伝子治療 |
Research Abstract |
プラスミンは細胞外基質蛋白に対し強い分解活性を示すほか,他の不活性型蛋白分解酵素を活性化し,がんの浸潤・転移を制御していると報告されている.本研究者は,プラスミンが,細胞間接着分子であるE-カドヘリンを切断し,がん細胞の分散能を亢進することを明らかにし,プラスミンは細胞外基質蛋白分解系の中心的な役割を果たすほか,E-カドヘリンをプロセシングすることで,がん細胞の分散能を亢進させ,がんの浸潤・転移を促進していることを示してきた.本研究では,in vivoにてプラスミン阻害物質であるα2-アンチプラスミン蛋白の発現を誘導し,扁平上皮癌の蛋白分解活性のみならず細胞分散能を低下させることで,口腔癌の浸潤・転移を抑制することを目的としている. 実験には口腔扁平上皮癌細胞株と,その細胞株にα2-アンチプラスミン遺伝子を導入した細胞を用いた.まずプラスミノーゲンを含む培地で各細胞を培養し,経時的に増殖細胞数を算定した.α2-アンチプラスミン遺伝子導入細胞は低い増殖能を示し,培養7日目の増殖細胞数は親株の約1/2であった.つぎに1000万個の各細胞を,4週齡ヌードマウスの背部皮下に接種し,経時的に腫瘍の大きさを測定した.遺伝子導入細胞は腫瘍を形成するものの増大を認めず,親株にくらべ増殖能が著しく低下していた.さらに,形成した腫瘍におけるE-カドヘリンの発現を免疫組織化学的に検索したところ,遺伝子導入細胞による形成腫瘍では細胞膜上でのE-カドヘリンの発現が亢進していた. これらの結果は,α2-アンチプラスミン蛋白の発現によるプラスミン活性の低下がin vivoにおけるE-カドヘリンの発現を亢進し,口腔扁平上皮癌細胞の浸潤増殖を抑制している可能性を示唆している.したがって,α2-アンチプラスミン蛋白発現誘導は口腔癌の浸潤・転移を抑制する,新しい遺伝子治療の開発につながることが期待できる.
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