2012 Fiscal Year Research-status Report
mGluR5を標的とした口腔癌に対する転移抑制療法の開発
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24792225
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
栗林 伸行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80617332)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | mGluR5 / CXCR4 |
Research Abstract |
今回の研究において、すでにわれわれはCXCR4とmGluR5を高発現している高転移性口腔癌細胞B88-SDF-1において、脈管新生因子であるVEGFファミリーの産生が増強していることを報告している(Eur J Cancer 47:452 2011)。そこで、 VEGFファミリー(VEGF-A/B/C/D)の産生におよぼすmGluR5阻害剤(MTEP; 3-((2-Methyl-1,3-thiazol-4-yl)ethynylの影響をELISA法およびreal time PCRにて検討した。その結果、SDF-1/CXCR4システム依存的に、脈管新生因子であるIL-6、IL-8,、VEGFAの産生が亢進したが、それらの産生にmGluR5は影響を与えなかった。しかしながら、リンパ管新生因子であるVEGFCのmRNA発現とタンパク産生は、mGluR5作動薬であるDHPGにより上昇し、mGluR5特異的阻害剤により有意に抑制された。リンパ管新生因子であるVEGFCの発現抑制が関与している可能性も含め、本研究はmGluR5特異的阻害剤による様々な癌に対する転移抑制療法の可能性を示唆するものであり、癌転移研究に対する意義は大きいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌細胞B88-SDF-1において、脈管新生因子の検討に時間を費やしたため少し遅れている。 現在、mGluR5のSDF-1/CXCR4システム依存的な細胞接着におよぼす影響および足場非依存性増殖におよぼす影響を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、造腫瘍性を有するが、CXCR4を発現していない口腔癌細胞株CAL27におけるmGluR5の発現を定量性RT-PCR法にて検討する。このとき,陽性対象としてB88-SDF-1細胞を用いる。CAL27がmGluR5をCXCR4非依存的に発現していればCAL27を使用し、mGluR5発現株の細胞遊走および転移能の評価を行う。mGluR5を発現していない場合、mGluR5発現ベクターを導入し、強制発現株を樹立し検討を行う。また、口腔癌患者原発巣におけるmGluR5の発現検索を一次治療前の口腔癌患者原発巣より採取した生検材料を用いて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の繰越し額は上記研究の材料および器具に使用する。
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