2013 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群の病態形成・進展のメカニズムの解析ーThサブセットの関与ー
Project/Area Number |
24792230
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 昭彦 九州大学, 大学病院, その他 (70615799)
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Keywords | サイトカイン / ケモカイン / シェーグレン症候群 / IgG4関連疾患 |
Research Abstract |
本年度はSSの病態進展のメカニズムの解明について研究を行った。前年度にSSの病態進展にはTh2が重要であるという報告を行ったが、最近では、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患において新しく同定されたサイトカインであるIL-33が、IL-33の受容体であるST2を発現しているTh2に作用し、細胞の活性化とTh2サイトカイン産生を誘導することが報告されている。そこで今回われわれは、SSの病態進展とIL-33との関連について検討を行った。SS患者では健常者と比較して、IL-4、IL-33、ST2のいずれの分子についてもmRNA発現量、免疫組織化学染色ともに健常者と比較して有意な差を認めた。一方SS患者では、リンパ球の浸潤程度が重度の症例は軽度の症例と比較して、IL-4とIL-33は導管上皮とその周囲に強い発現を認め、ST2も多くの浸潤リンパ球に発現を認めた。これらの結果より、SSの唾液腺導管上皮から分泌されたIL-33が、ST2を発現しているTh2に作用することで、Th2サイトカインの産生が誘導され、病態が進展することが示唆された。 また、SSの類似疾患とされていたIgG4関連疾患についても同様の解析を行い、SSとの比較検討を行った。健常者と比較して、SSの口唇腺では、Th1、Th2、Th17、Tfh関連分子のmRNAの発現が亢進しており、Th1とTh17関連分子は胚中心のない部分で、Th2 とTfh関連分子やIL-21は胚中心部とその周囲で特に強い発現がみられた。また、Treg関連分子の発現は弱く、IgG4陽性細胞の浸潤はほとんどみられなかった。一方、IgG4-DSの口唇腺では、健常者と比較してTh2、Treg、Tfh関連分子のmRNAの発現が亢進しており、胚中心の周囲にTreg関連分子の発現とIgG4陽性細胞の浸潤がみられた。これらの結果よりIgG4-DSでは、Th2、TregならびにTfhが胚中心形成やIgG4産生に重要な役割を果たし、これらのT細胞サブセットが特徴的な病態形成に関与していることが示唆された。
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