2013 Fiscal Year Annual Research Report
ΔNp63を介した上皮-間葉転換による口腔扁平上皮癌の発生、浸潤、転移機構の解明
Project/Area Number |
24792231
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 良太 九州大学, 大学病院, 医員 (60615798)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / ΔNp63 / EMT / 浸潤・転移 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
本研究では癌の浸潤・転移に深く関与しているとされる上皮ー間葉転換(EMT)に着目し、そのEMTを制御する分子とされているΔNp63に焦点を当て、ΔNp63によるEMTを介した口腔扁平上皮癌の浸潤・転移能の獲得機構を分子生物学的に解明することを目的としてこれまで研究を行ってきた。 siRNAによりΔNp63をノックダウンさせた口腔扁平上皮癌細胞株(ΔNp63発現抑制細胞)はΔNp63発現ベクターを導入した口腔扁平上皮癌細胞株(ΔNp63過剰発現細胞)と比較し、real-time PCR法およびwestern blotting法においてEMT関連分子(snail、slug、twist)の発現が高く、さらに上皮系細胞マーカー(CK5、14、19)の発現減弱と間葉系細胞マーカー(vimentin、N-cadherin)の発現増強を認めた。細胞形態についてはΔNp63発現抑制細胞は線維芽細胞様形態を呈していた。 また口腔扁平上皮癌生検材料におけるΔNp63の発現様式について検索を行ったところ、腫瘍中心部の癌細胞はほぼすべてにΔNp63の発現を認めたが、浸潤先端部の癌細胞ではΔNp63の発現強度の減弱を認めた。さらにΔNp63の発現が減弱した細胞はvimentinの発現が亢進していた。 抗癌剤に対する抵抗性についてもWST-8 assayを用いて検討したところ、ΔNp63高発現扁平上皮癌細胞株は5-FU、シスプラチンの添加により濃度依存的に細胞生存率が低下したが、ΔNp63低発現扁平上皮癌細胞株は細胞生存率の低下がみられず、これら抗癌剤に対し抵抗性を示した。 以上よりΔNp63の発現減弱によりEMTが誘導され、浸潤、転移能を獲得している可能性が示唆された。
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[Journal Article] Possible involvement of ΔNp63 downregulation in the invasion and metastasis of oral squamous cell carcinoma via induction of a mesenchymal phenotype.2013
Author(s)
Yuichi Goto, Shintaro Kawano, Ryota Matsubara , Takahiro Kiyosue, Mitsuhiro Hirano, Teppei Jinno, Yasuyuki Maruse, Takeshi Toyoshima, Ryoji Kitamura Hideaki Tanaka, Kazunari Oobu, Seiji Nakamura
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Journal Title
Clinical & Experimental Metastasis
Volume: 31
Pages: 293-306
Peer Reviewed
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