2012 Fiscal Year Research-status Report
羊膜の抗炎症・感染抑制作用に着目した新規培養歯根膜由来細胞シートに関する研究
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24792243
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
熊本 園子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (90613563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯根膜細胞 / 移植・再生医療 / 歯学 / 臨床 |
Research Abstract |
近年、歯根膜組織を採取、培養し得られた歯根膜細胞(以下PDL細胞)を移植することで歯周組織再生の報告を散見する。また、羊膜はこれまでに抗炎症作用・感染抑制作用を有することが分かっており、様々な細胞の培養基質として用いられている。しかし、羊膜上に培養した歯根膜細胞の抗炎症作用については未だ明らかではない。 今回、私たちは移植可能な培養PDLシートの開発を念頭に、羊膜を基質とした歯根膜由来細胞の培養を行い、同培養シートについて検討を行った。 羊膜は帝王切開時の胎盤より採取したもの、および再生医療支援機構・近畿羊膜バンクからの研究用羊膜の供給を受け研究に用いた。歯根膜組織は、埋伏智歯抜歯術にて得た智歯根面から採取、in vitroにて培養した。同シート作製に際し、培養条件の最適化・並びに免疫組織学的検討を行った。さらに作製したPDLシートに対し、歯周病原菌の一種Porphyromonas gingivalis (P.g.菌)の内毒素Lipopolysaccharide(LPS)を加え、炎症性サイトカインの発現等について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度は主に羊膜を用いた歯根膜由来細胞培養シート作製から開始し、培養条件の最適化を検討した。さらにLPS刺激に対する羊膜上培養PDLシートの抗炎症作用を細胞の遺伝子発現の変化から評価しようと、各条件下で培養した歯根膜細胞のtotal RNAを用いてrealtime PCRによる遺伝子発現変化を比較検討しようと試みたが、代表的な炎症性サイトカイン(IL-6、IL-1beta、TNF-alpha)、抗炎症性サイトカイン(IL-10)はいずれもLPS添加/非添加群間で明らかな変化を確認するに至っておらず、他の手法を用いた検討方法を模索し遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度で得た歯根膜シートの培養技術に基づき、羊膜上培養歯根膜様細胞シートの分子生物学的検討を継続していく。作成された培養シートを用いてP.g.菌刺激の条件を設定、バイオアッセイを行う。方法として、in vitroにて増殖させた歯根膜由来細胞から作製した羊膜上培養PDLシートに対し、P.g.菌LPSを培養液中に添加し、24時間刺激後、歯根膜由来細胞からtotal RNAを抽出、炎症性サイトカイン (IL-6, IL-1 beta, TNF-alpha) の発現をrealtime PCRでLPS非添加群と比較検討する。さらに、培養上清中に実際に分泌されたサイトカイン (IL-6, IL-1beta, TNF-alpha) のタンパク量を、ELISA法を用いて定量し、LPS非添加群と比較検討を行う。上記の方法で羊膜上培養PDLシートがLPS刺激に対しサイトカイン分泌をどの様に制御するか、を検討することができる。またマイクロアレイ解析により遺伝子発現動態を網羅的に把握し、特に炎症と関連がある遺伝子についてrealtime PCRにて確認、最終的には分泌タンパクとしてELISAにて評価予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
羊膜上培養PDLシートの培養条件の最適化を引き続き検討する。作製したPDLシートに対し、P.g.菌由来LPS刺激時の反応をrealtime PCR、マイクロアレイ解析、ELISA法により検討予定である。
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