2013 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復経路を標的とした口腔腫瘍温熱細胞死の基礎的研究
Project/Area Number |
24792244
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
梶原 淳久 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00382317)
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Keywords | 温熱 / DNA修復 / 相同組み換え修復 / 口腔がん細胞 / siRNA / BRCA2 |
Research Abstract |
近年、我々は温熱でもDNA二本鎖切断(DSB)が生じることを明らかにした。DSB修復の二つの経路である相同組換え(HR)関連遺伝子のBRCA2と非相同組換え(NHEJ)関連遺伝子のKu80に注目し、これらを抑制することで温熱による殺細胞効果が高まるかどうかを検討した。 細胞はChinese hamster lung fibroblast (CHL)のBRCA2変異型細胞とその親株細胞およびCHLのKu80欠損細胞とその親株細胞を用いた。各細胞を44℃で温熱処理を行い、コロニー形成法にて生存率を算出した。温熱処理後、Ku80欠損細胞はその親株細胞と比較し同程度の殺細胞効果しか認められなかったのに対して、BRCA2変異型細胞は親株細胞と比較し高い殺細胞効果を認めた。よって、DNA修復を標的とした場合、温熱ではHR修復が標的となることが示唆された。 そこで、ヒト舌扁平上皮癌細胞株SASにBRCA2のsiRNAあるいはnegative control のsiRNAを導入した。SAS細胞でもBRCA2のsiRNAで処理したものが、controlよりも温熱処理によって高い殺細胞効果を認め、アポトーシス頻度も増加した。 次に、温熱でDSBが生じ、HR修復が行われているのかを確認するためにrecombination assayを行ったところ、X線と同様、温熱でもHR修復を起こした変異体がコントロールよりも多く検出された。そこで、γH2AX抗体を用いたフローサイトメトリー法にて温熱処理後のDSB量を計測した。親株細胞ではDSB量が減少したが、BRCA2変異型細胞では温熱処理18時間後のγH2AXの消失遅延が生じた。免疫蛍光染色法にてBRCA2とcomplexを形成するRad51のfocus形成を検討したところ、親株細胞において温熱処理後4時間をピークに核内に認められた。 以上の結果より温熱ではDSBが誘導され、それらはNHEJ修復ではなく、HR修復によって修復されることがより強く示唆された。
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