2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792247
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
原野 望 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50423976)
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Keywords | 癌性疼痛 / 口内炎 |
Research Abstract |
口内炎は頭頸部癌患者における抗がん治療においてたびたび発生し、食事や会話時において深刻な痛みを引き起こす。しかし、口内炎誘発性疼痛に対する効果的な治療方法はない。本研究では抗がん剤と口内炎の関係を評価するために、口内炎誘発性疼痛ラットモデルにおいて、代表的な抗がん剤である5-フルオロウラシル(5-FU)の効果を調査した。 雄のWistar rat(7-8weeks old)に、5-FU(40㎎/ml/㎏)やコントロール群として生食を3回腹腔内投与した。口内炎を作成するために、麻酔下にてラットの下顎前庭の口腔粘膜に50%酢酸を吸収させた9㎜平方のろ紙を30秒間圧迫した。口内炎誘発性疼痛としてのサインであるfacial rubbing behaviorを、カプサイシンを口内炎部に滴下後3分間を計測した。 5-FU投与はコントロール群と比較して、著明に摂食量と体重を低下させた。口内炎の潰瘍は両グループにおいて酢酸滴下2日目において認められた。5日目までには、コントロール群では口内炎が消失したのにも関わらず、5-FU投与群では残存した。カプサイシン滴下後のfacial rubbing behaviorは口内炎が形成される2日目までは両群とも同レベルであった。しかしながら、5日目において5-FU群はコントロール群と比較して著明に増加した。 以上の結果から、5-FU投与は口内炎の治癒を遅延し、その結果として長期的な口内炎誘発性疼痛を引き起こすと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床において癌性疼痛治療を単独で行うことは少なく、抗がん剤との併用が行われることが多い。口腔顔面領域の痛み入力は非常に複雑であり、抗がん剤の副作用である口内炎誘発性疼痛の可能性も考慮して研究を進める必要があり、このことから口内炎の機序について理解する必要があり、新しい研究を加えたため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究おいて、抗がん剤自体が口内炎誘発性疼痛を引き起こし、このことが摂食量の低下、体重の低下を誘発していることがわかった。今後はこの口内炎の機序ならびにその治療について検討を行うとともに、24年度に行ったエンドセリンの効果ならびにプロペントフィリンの作用について検討を行っていく予定である。
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[Journal Article] Endothelin Receptor-mediated Responses in Trigeminal Ganglion Neurons2013
Author(s)
T. Yamamoto, K. Ono, S. Hitomi, N. Harano, T. Sago, M. Yoshida, M, Nunomaki, S. Shiiba, S. Watanabe, O. Nakanishi, and K. Inenaga
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Journal Title
Journal of Dental Research
Volume: 92(4)
Pages: 335-339
DOI
Peer Reviewed