2012 Fiscal Year Research-status Report
島皮質におけるプロポフォールの局所神経回路制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
24792257
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小柳 裕子 日本大学, 歯学部, 助教 (20609771)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | propofol / GABA(A) receptor / cortex / IPSC / whole-cell patch-clamp |
Research Abstract |
Propofolは,調節性に優れた静脈麻酔薬であり,全身麻酔の導入・維持や歯科治療時の静脈内鎮静法に頻用されている。これまでに,propofolはGABA(A)受容体に作用し,抑制性シナプス伝達効率を増加させることにより,その鎮静効果を発揮することが知られている。一方,大脳皮質は,興奮性細胞である錐体細胞と十数種類の抑制性介在ニューロンで構成されており,さらに,抑制性介在ニューロンの種類によりGABA(A)受容体のサブタイプの構成が異なることが報告されている。このことから,propofolの効果は,ターゲットとなるニューロンの種類により異なる可能性が考えられる。そこで本研究は,大脳皮質において,シナプス結合を有する複数のニューロンから同時ホールセル記録を行い,抑制性シナプス伝達に対するpropofolの効果について,ニューロンの組み合わせに着目し,単一シナプス応答性抑制性シナプス後電流(uIPSC)の解析を行ない,以下の結果を得た。 1. Propofolは,シナプス前細胞がfast spiking細胞(FS),シナプス後細胞がFS,non-FSまたは錐体細胞(Pyr)のシナプスに対して,シナプス後細胞のGABA(A)受容体に作用してuIPSCの持続時間を延長させた。 2. シナプス後細胞がFSおよびnon-FSと比較してPyrのシナプスにおいて,propofolによるcharge transferの増大の絶対値は大であった。 以上の結果から,propofolは,抑制性細胞と比較して錐体細胞を強く抑制することにより,その鎮静作用を発揮している可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
uIPSCに対するpropofolの修飾作用について,シナプス前細胞および後細胞の種類を同定して,網羅的に解明することができた。現在その結果を国際雑誌に投稿するための準備を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
単一シナプス応答性興奮性シナプス後電流(uEPSC)に対するpropofolの修飾作用について,シナプス後細胞の種類を同定して解明するととともに,免疫組織化学的に形態学的解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に使用するVGAT-Venusラットの繁殖のための購入・維持費として,5万円を計上する。検討に用いる薬物・試薬の購入費(免疫組織化学的検討のための抗体等も含む)として,70万円を計上する。実験に用いる器具・器材として,ガラス電極作製用キャピラリー購入費として15万円を計上する。 研究成果の発表および聴講による情報の収集のための学会参加・発表費用に関しては,日本麻酔科学会または日本歯科麻酔学会への参加のために5万円,米国麻酔学会または北米神経科学会への参加のために25万円を計上する。
|
Research Products
(4 results)