2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔顔面領域に発症した異常疼痛治療法開発に向けた末梢神経機構の解明
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24792258
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
本田 訓也 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (20548945)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 疼痛 / グルタミン酸受容体 / TRP channel |
Research Abstract |
口腔顔面領域に発症する異常疼痛における末梢グルタミン酸受容体の関与を解明するため、顔面皮膚へのグルタミン酸持続投与ラットにおいて熱・冷・機械刺激を与え逃避行動を観察した。結果、グルタミン酸持続投与により熱・冷・機械痛覚過敏が発症することが解明された。また、同様のラットを用い、グルタミン酸受容体であるNMDA受容体のアンタゴニスト、代謝型グルタミン酸受容体の一つであるmGlu5のアンタゴニスト、TRPA1のアンタゴニストまたはTRPV1のアンタゴニストを投与し熱・冷・機械刺激を与え逃避行動を観察した。結果、各アンタゴニスト投与によりグルタミン酸誘発熱・冷・機械痛覚過敏が抑制されることが解明された。以上より、末梢のグルタミン酸処置により熱・冷・機械痛覚過敏が発症し、その痛覚過敏にはNMDA受容体、mGlu5、TRPA1およびTRPV1が関与することが示唆された。 さらに、顔面皮膚に投射している神経節細胞を同定するための逆行性トレーサーであるFGを注入したラットを用い、三叉神経節におけるグルタミン酸受容体サブユニットであるNR1, mGlu5,TRP channelサブファミリーであるTRPA1およびTRPV1の免疫染色を行った。結果、顔面皮膚に投射している神経節細胞においてNR1とTRPA1、mGlu5とTRPA1およびmGlu5とTRPV1の共存が認められ、グルタミン酸持続投与によりTRPA1およびTRPV1の数が増加した。以上より、グルタミン酸受容体活性化により熱・冷・機械刺激を受容するといわれているTRPA1やTRPV1 channelを増加させるシグナルが発生することが示唆された。 これらの結果より、末梢組織の炎症や損傷により発症する異常疼痛のメカニズムの一端が解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した平成24年度実験についてはすでに終了しており、特に問題はなく計画通りの結果が得られている。また、平成25年度に計画している実験についてもすでに開始をしており、良好な結果が得られ現在も実験を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書記載の平成25年度研究計画に記載した実験について、電気生理学実験を行い、細胞内シグナル経路を検索するため、各種拮抗薬を用いた行動実験および免疫組織科学実験を行う。 得られた実験データを学会等で発表しさまざまな意見交換を行い最終的に海外の雑誌に論文投稿を行い掲載を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は動物、薬品、実験器具等に使用する予定である。また、実験で得られたデータの成果報告を行うため学会に参加するための旅費や、論文投稿の費用にも使用する予定である。 なお、次年度分として請求した助成金に関して、前年度購入予定の抗体の購入をしなかったため次年度購入予定である。
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Research Products
(5 results)