2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792262
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
下間 雅史 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (50612008)
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Keywords | メラトニン / 口腔粘膜疾患 / 治療薬 |
Research Abstract |
超高齢社会を迎えたわが国においては、高齢者人口の増加に伴って口腔粘膜疾患は増加傾向にある。組織や細胞では生命活動のためにミトコンドリア内でATPが産生される際に生じるROS(活性酸素やフリーラジカルなど)の作用による、ミトコンドリア膜タンパクや脂質の酸化、ミトコンドリアDNA の損傷により、ミトコンドリアの機能異常を引き起こし、細胞老化につながるものと考えられている。口腔粘膜疾患においてもこのような酸化ストレスが口腔粘膜疾患の発症の一因となっている可能性が考えられる。生体内ではこの酸化ストレスに対してカタラーゼなどの様々なフリーラジカルスカベンジャーが働くことで酸化ストレスを抑制していることが報告されている。一方、メラトニンは、概日リズム調節ホルモンであり、強い抗酸化作用を持つことが知られている。近年メラトニンは松果体だけでなく、網膜や水晶体、卵巣、消化管、免疫系細胞、といった種々の臓器や組織においても合成・分泌され局所的に作用していることが報告されている。唾液中においてもメラトニンの存在が確認されおり、口腔粘膜疾患の予防や創傷治癒の促進といった、何らかの生理的役割を果たしている可能性があることに着目し、昨年度までに唾液腺にメラトニン合成の律速酵素が発現し、唾液腺においてメラトニンが産生・分泌されていることを確認した。さらに、メラトニンの局所投与が口腔粘膜の創傷治癒に及ぼす影響につき検討するため、ラビット歯肉に創傷を作製し、メラトニンを投与したところ、メラトニン投与により創傷の治癒促進の傾向は認められたが有意差は認められなかった。また、in vitroにおいてもメラトニン投与による口腔粘膜上皮細胞への明らかな影響は認められなかった。このことから、今後はメラトニン濃度の変更や、他の口腔粘膜の病的状態においてメラトニンが作用するか否かについても検討していきたい。
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