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2012 Fiscal Year Research-status Report

凍結切片を用いた口腔癌組織、細胞のイメージング

Research Project

Project/Area Number 24792265
Research InstitutionFukui College of Health Sciences

Principal Investigator

木下 英荘  福井医療短期大学, その他部局等, 講師 (80601103)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsラマン分光法 / 扁平上皮癌 / イメージング
Research Abstract

ラマン分析機器を用いて、凍結乾燥切片の分析を行った。サンプルは、扁平上皮癌(SCC)と口腔白板症を用いた。本年度の目標は、まず組織レベルでのイメージングの感度と再現性を上げることであった。
まずラマン分析機器で、組織サンプル(未処理)を測定し、イメージングを行うのに最適な測定条件の検討を行った。サンプル側の条件であるが、切片の厚みを3ミクロンと8ミクロンのものとを分析した結果、3ミクロンの方が切片の凹凸が少なく、イメージングが正確であることが判明した。サンプルは、ゴールドでコーティングされた特殊なプレパラートを用いた。また、ラマン分析機器の測定条件は、レーザー照射は20秒、積算測定回数は2回、レンズは100倍のものを使用すれば、微小領域の測定が可能で、サンプルの変性や炭化も生じなかった。
測定結果であるが、サンプルは連続切片として、H&E染色像とラマン分析機器での測定領域を一致させながら測定を行った。そのことで、500ミクロン四方の領域で、H&E染色での組織の状態とラマン分析機器でのイメージングを明らかに一致させることができた。それは、H&E染色で扁平上皮癌細胞の集団とその周囲の間質を分析領域に設定し、ラマン分析機器で同領域を分析した結果、その境界をイメージングで再現できたことである。これは、複数のサンプルや、測定領域で分析しても同様に、H&Eの組織像とラマン分析によるイメージングが一致したので、手法に関しては確立されたと考える。
また、このイメージングの意味であるが、測定ポイントのラマンスペクトルのピーク面積の大小を色分けして表示されている。ラマンスペクトルのピーク位置は、分子の構造を反映している。よって、ラマン分析によるイメージングは、扁平上皮癌細胞の集団とその周囲の間質での、分子構造の違いや含有する量を半定量的に表現しているものであり、非常に重要な意味合いを持つ。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ラマン分光法を用いた口腔扁平上皮癌のイメージングは、1回の分析で得られるラマンスペクトルのピーク面積を算出し、分析領域をそのピークに帰属する分子量で具現化したものである。要するに、例えば、アミドIの分子構造は、扁平上皮癌細胞巣とその周囲の間質や正常組織ではどのように分散しているかなどが、未処理のサンプルで測定が可能で、半定量的に図示化できることである。ラマンスペクトルには、複数のピークが存在し、一度の分析で、複数の分子成分のイメージングが半定性的に半定量的にできる。これまでのH&E染色による、組織形態学的な病理診断に加えて、ラマン分光法を用いれば、半定性・半定量的な概念が持ち込める可能性がある。
本研究初年度の目標である、H&E染色による分析するターゲット領域と、ラマン分光法により分析する領域を連続切片を作成することで、できるだけ近似させて分析を行った。H&E染色像で特徴ある扁平上皮癌細胞の組織を分析ターゲットとして、ラマン分光法で分析し、そのイメージングがH&E染色像の組織形態と一致するかを確認した。アミド基を用いたイメージングでは、扁平上皮癌細胞巣とその周囲の間質の境界をとらえることができた。これは、形態組織学的な所見に、扁平上皮癌細胞巣とその周囲の間質で構成される分子構造の質や量の違いを付加できる意味を持つと考える。
ラマン分析法での、サンプルや機器の測定条件がある程度定まったことにより、上記のように初年度の目標である組織レベルでのイメージングはほぼ達成できたと考える。

Strategy for Future Research Activity

扁平上皮癌細胞巣のイメージングが得られたことにより、その意味づけが重要となる。ラマンスペクトルには、リン酸、アミド、リピッド、核酸など、さまざまな分子構造の情報が含まれる。これまでは、タンパク質の発現や分布は、免疫組織化学染色が必要で、長い時間と手間が必要であった。ラマン分光法では、一度の分析で、複数の分子成分の存在や分布の表示が可能となる。ラマンスペクトル上の各ピークの帰属を丁寧に行い、各成分のイメージングが示す内容を説明できるようにしたい。
また、組織レベルのイメージングの後は、扁平上皮癌細胞一つのイメージングを行う。ラマン分光法は、空間分解能が非常に高く、微小領域(1ミクロン単位)の分析に優位である。癌細胞一つをイメージングできれば、核と細胞質のスペクトルの識別が可能になり、細胞内の微小構造にも迫ることができる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

ラマン分光法による分析を効率よく継続するには、良質のラマンスペクトルを得ることが不可欠である。ラマン分析機器のメンテナンス(ノッチングフィルターなど)や消耗品(ゴールドコーティングされた測定用プレパラート)にH25年度の費用を主に計上している。

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Published: 2014-07-24  

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