2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792265
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Research Institution | Fukui College of Health Sciences |
Principal Investigator |
木下 英荘 福井医療短期大学, 医歯学系, 講師 (80601103)
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Keywords | ラマン分光法 / イメージング / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
ラマン分光法を用いて、口腔癌組織のイメージングを行う ラマン分光法は、構成されている組織の個々の分子の振動を検出してスペクトルで表示する手法である。これまで、口腔癌においても正常組織と癌組織のスペクトルの違いを論じる報告は少数ある。しかし、ラマン分光法は非常に空間分解能(1ミクロン)が高く、微少領域の面分析が可能(イメージング)である長所が応用されていない。ラマンスペクトルは分子の指紋とも言われ、たんぱく質やその2次構造の情報がピークの位置や強度で検出され、一度の分析で多くの情報を得ることができる。また、分析サンプルに対し特殊な前処理を必要としない。我々は、凍結自然乾燥口腔癌組織(扁平上皮癌)を用いて、組織のイメージングを行った。また、ラマン分光法による分析領域は常に連続切片を作り、H&E染色像と対比して分析を進める必要がある。 結果であるが、200~500ミクロン平方の微小領域において、ラマン分光法によるイメージングとH&E染色像を一致させることができた。それも、得られたスペクトル上の複数のピーク面積によるイメージングで実現できた。分析は2~5ミクロン間隔で3000ポイント前後を格子状に測定しており、ピーク面積はその各分析ポイントでの分子成分の濃度を相対的に表している。例えば、フェニルアラニンに由来する分子成分は、扁平上皮癌細胞が密集してしている領域には高濃度に分布し、間質には低濃度に分布していることが濃度分布イメージとして得られた。現在でも、組織切片において、分子の発現や分布は、免疫組織科学染色を用いる手法が一般的であるが、ラマン分光法において分子成分の分布のイメージが可能になりつつあることの意義は大きいと考える。今後は、そのイメージングが意味することの追及が必要である。
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