2012 Fiscal Year Research-status Report
歯胚発生過程における自然免疫関連分子群の発現と機能解析
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24792274
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池内 友子 東北大学, 大学病院, 医員 (30613294)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯の発生 |
Research Abstract |
マウス歯胚で自然免疫分子の発現パターンの解析: 歯胚におけるTLR (Toll like receptor)1、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、NLR (NOD-like receptor)1、NOD2分子の発現を免疫染色で組織学的に比較、解析し、歯胚発生過程でのTLR、NLR分子群の発現パターンを同定した。既に知られているBMP、FGF、SHH、WNTとそれらの受容体との発現パターンからクロストークの可能性がある分子の特定を目指している。 エナメル芽細胞のTLR・NLRの発現状態の解析: 歯原細胞におけるTLR、NLR分子の発現を解析する。細胞株ではエナメル芽細胞への分化能を有するラット歯原性上皮細胞HAT-7を使用し、RT-PCR法を用いてTLR、NLR分子の発現を検討する。菌体成分、またはウイルス成分であるTLR、NLRリガンドが、歯胚の器官形成にどのような影響を与えているのかという検討は、マウス歯胚の器官培養系を用いて解析する。胎生14.5日目・出生直後のマウス下顎第一臼歯の歯胚を摘出し、歯胚を各TLR・NLRの細菌やウイルスを含む培養液上にフローティングさせたメンブレン(Nucleopore)を用いて培養する。TLR、NLRリガンドを器官培養系に加え、培養後、2、4、6日目の培養歯胚を薄切にし免疫染色で組織学的に検討する。また、エナメル芽細胞の分化マーカーであるエナメルマトリックスタンパクのアメロブラスチン、アメロジェニン、エナメリンの遺伝子発現をRT-PCRまたはリアルタイムPCRにて解析した。ラット歯原性上皮細胞HAT-7の細胞株でもTLR、NLR分子の発現の解析を行い、TLR、NLRリガンドを培養系に加え経時的に細胞増殖の変化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた初年度の研究内容の7~8割を実行済であることと、次年度の予定に関しても一部着手済であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ELISA、RT-PCRによる各リガンドで刺激した際のエナメル芽細胞と象牙芽細胞からのサイトカイン、ケモカイン産生量の測定: 歯原性細胞の応答性が高いリガンドで HAT-7を刺激し、その結果産生されるサイトカインやケモカインをELISAにて測定する。その際に刺激時間が何時間でサイカイン、ケモカインの産生量が最大になるかタイムコースをとって分析する。主に解析を行うサイトカインとしては炎症に関わっている因子IL-6、IL-1βなど、ケモカインではIL-8、MCP-1などを予定している。さらにRT-PCR法で遺伝子レベルでもサイトカイン、ケモカインの発現活性の解析を行う。また、マウス歯胚の器官培養においてもTLR、NLRリガンドで刺激し、その結果産生されるサイトカインやケモカインをELISAにて測定する。 TLR、NLRリガンドが歯原性細胞分化に与える影響の検討: TLR、NLRリガンドで刺激の有無による歯原性細胞の分化に対する影響を検討する。HAT-7細胞ではエナメル質形成に重要であるエナメル質マトリックスタンパクであるアメロジェニン、エナメリンの発現をRT-PCRにて解析する。また、アメロブラスチンに関しては、RT-PCRで差が見られた場合、ウエスタンブロットを用いて蛋白レベルでの解析も行う。 TLR、NLRの活性化による形成阻害を引き起こすシグナル伝達分子の特定: HAT-7を用いて同定したTLR、NLRリガンドで刺激したときに、歯胚の形成に重要なシグナル伝達分子(smad1, smad5, smad4など)の発現をRT-PCR法で解析する。ERK, JUN, Aktシグナル伝達系路または活性化シグナル経路を特定した後、その経路に関わるさまざまなシグナル伝達分子の活性低下、活性化をウエスタンブロットにて解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究に遂行に使用する予定である。
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