2012 Fiscal Year Research-status Report
小児の日常場面におけるストレスに起因する睡眠時歯ぎしりの解明
Project/Area Number |
24792275
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
高原 円 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (20454150)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 睡眠 / ストレス |
Research Abstract |
本研究は,小児の睡眠健康・精神的健康と歯ぎしりの機能に及ぼす日常的ストレスの影響を明確に示すことを目指し,フィールドの日常的なストレスに対して同様に適応的に生じると予測される小児の歯ぎしりのパターンと睡眠・覚醒リズムとの関係を直接的に解明することを目的としている。 本年度は,福島市に住む幼稚園,保育園,小学生を対象とした,睡眠習慣と心理的ストレスに関する大規模調査を実施した。子どもたちの心理的ストレスは母親の感じている心身のストレスと密接に関係していることが分かり,更に,子どもたちの示すストレス行動は,睡眠問題と高く相関していることが分かった。中でも,睡眠習慣の乱れや,歯ぎしりや悪夢といった睡眠時随伴症の症状がストレスと関連していることも示すことができた。本研究については,東京医科大学の駒田博士の協力も得,東京で2009年に行われた同様の調査の値と比較した。その結果,東京の子どもたちと比較すると睡眠主観の乱れは顕著ではなかったにもかかわらず,上記の睡眠時随伴症に関連する項目や夜間中途覚醒の項目得点が高く,福島市の子どもたちの心理的ストレスとそれに深く関連する睡眠問題について緊急に取り組んでいく必要があることが示唆された。以上の結果について,ヨーロッパ睡眠学会等で成果報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,使用を予定していた歯ぎしり測定のための機器が発売されなくなったという不測の事態により,実際の実験に着手し始めることが困難であった。急遽,福島における子どもたちの心理的ストレスを睡眠に関する大規模調査を行うこととした他,代わりとなる実験を開始する準備は引き続き進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度より,予定していた在宅での長期測定実験に着手していく。予備実験の後,被験者の対象を広げていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小児を対象とする在宅での実験を行う。普段睡眠をとっているベッドのマットレス下に非装着型の睡眠・覚醒リズム評価装置を設置し,30日間測定する。その間,保護者にはストレス事態などの日誌と5段階評価をつけてもらう。就寝前と起床後には,唾液を採取し,ストレスと関連したコルチゾルリズムを測定する。同時に,長期記録型の咬筋活動評価装置と簡易型歯ぎしり評価および睡眠ポリグラフ測定を2回行い,詳細な歯ぎしりパタンと睡眠内容を確認する。日常ストレスの評価の変動については,母親による評価と,客観的なELISA(酵素免疫測定法)による唾液中コルチゾル濃度を用い,就寝前後の唾液中コルチゾル濃度変動を測定する。唾液のホルモン量測定に関しては,滋賀大学の大平博士,長岡技術科学大学の野村博士の両氏の協力を得て行う。睡眠時歯ぎしりの変動評価に関しては,実験期間中の連続する3日間について2回測定を行う。これについては,SleepProfiler(MAGnet社製)の使用を予定している。
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