2012 Fiscal Year Research-status Report
マラッセ上皮遺残における幹細胞の動態および分子制御機構の解明
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24792282
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
住吉 久美 岡山大学, 大学病院, 医員 (80625161)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 幹細胞 / マラッセ上皮遺残 |
Research Abstract |
マラッセ上皮遺残は歯根周囲を取り囲むように分布している上皮細胞群である。この上皮群は歯根膜の維持やセメント質形成に重要な役割を果たすことが示唆されており、将来の歯根膜の再生医療の成否を握る重要な組織である。しかしこれまでにマラッセ上皮遺残の分布およびその維持機構についての詳細な報告はなされていない。 そこで、本研究では歯根膜に存在するマラッセ上皮遺残をin vivoで同定し、さらにこの上皮郡の幹細胞が歯根膜中に維持される分子機構の解明を目的として、まずマウス歯根膜における長期BrdU保持細胞の同定から開始した。組織幹細胞はBrdUを長期に渡り保持することが報告されているため、まず生後7週のマウスを用い1日2回一週間連続してBrdUの連続投与を行った。投与終了から10週間経過した後、下顎骨および上顎骨切片のBrdU染色を行いシグナルを観察した。その結果、歯根膜および歯髄において細胞の濃染が確認できたが、歯根膜根尖部に特異的に染まるシグナルは観察できず、マラッセ上皮遺残の同定は困難であった。そのため、今後ブロッキング方法の変更といった染色に関する検討、BrdU投与についての条件検討を再度行い、解析を継続する予定である。また、マラッセ上皮遺残細胞を分離するため、マウス歯根から歯根膜組織を採取し、上皮細胞選択培地を用いて培養を行ったが、採取細胞が過少であり細胞の生存および分離は困難であった。これについては、今後採取方法および使用固体数の再検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス歯根膜における長期BrdU保持細胞の同定を目的とし、BrdUの連続投与後、上下顎骨の切片を作成し染色を行った。細胞の濃染は確認できたものの、歯根膜根尖部に特異的に染まるシグナルは観察できず、マラッセ上皮遺残の同定は困難であった。今後の対応としては、切片の厚みの変更やBrdU投与条件の再検を行い、マラッセ上皮遺残の同定および解析を継続する予定である。また、マウス歯根膜組織からマラッセ上皮遺残細胞を分離する実験については、今後採取方法および使用固体数の再検討を行うとともに、ヒト抜去歯歯根膜組織を用いたマラッセ上皮遺残細胞の分離・同定を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上皮遺残中の幹細胞維持に関与する神経因子の検討を行う。マラッセ上皮遺残細胞の分離には抜去歯歯根膜を用い、これらから得られた細胞を10%FBS含有上皮細胞選択培地下にて培養後、上皮用Mediumを用いてマラッセ上皮遺残細胞と歯根膜細胞とを分離する。分離したマラッセ上皮遺残細胞を継代後、高い幹細胞活性を持つSP細胞をFACSにて分離し、実験に使用する。得られた幹細胞の表現型・幹細胞マーカーを確認し、神経因子添加後に幹細胞の割合が変化するかを検討する。また、幹細胞形質がいかなる変化を示すかをRT-PCRおよびウエスタンブロッティングにて確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯根膜細胞からマラッセ上皮遺残細胞を分離するための上皮選択培地および細胞培養試薬の購入および、細胞分離後に幹細胞マーカーを特定のするための抗体購入を行う予定である。
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Research Products
(3 results)