2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792283
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 隆 岡山大学, 大学病院, 助教 (00534786)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 実験的歯の移動 |
Research Abstract |
本研究では、矯正的歯の移動において、未だ解明されていない小胞体ストレスの果たす役割を解明する事を目的とし、in vivo、in vitro双方からアプローチする。本年度は、in vivoにおいて、実験的歯の移動モデルを用いて、歯の移動において歯根膜のどの部位が圧迫によって低酸素状態となっているのか観察を行い、それに伴う、小胞体ストレスマーカーやシャペロン分子mRNAの発現動態をin situハイブリダイゼーション法を用いて解明する計画であった。マウスにおける実験的歯の移動モデルの作成過程において、個体の大きさや組織が微小であり、実験的歯の移動において付加させる矯正力のコントロールが困難であった。そのため、既に実験手技が確立されているラットを用いたWaldo法へ切り替えた。一方、平行してマウスカルバリアから採取し培養した骨芽細胞を用い、小胞体ストレスマーカーであるXBP1およびシャペロン分子であるGrp78の継時的な発現を観察した。その結果、これらマーカーが分化誘導後2週間でピークに達し、3週間後ではやや低下することを見出した。さらに、実験的歯の移動モデル圧迫側の細胞動態を想定し、低酸素刺激下で同様の骨芽細胞を24時間培養し、これらERストレスマーカーの変動を調査した結果、mRNAの発現は上昇していた。また、先行的に低酸素環境下で培養したヒト歯根膜細胞を用いて、低酸素マーカーであるHIF-1αおよびApelinの時間依存的発現上昇を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いて実験的歯の移動モデルを作成する予定であったが、個体の大きさや組織が微小であり、実験的歯の移動において付加させる矯正力のコントロールが困難であった。そのため、既に実験手技が確立されているラットを用いたWaldo法へ切り替える必要があった。しかし、平行してマウスカルバリアから骨芽細胞を採取し、in vitroにて実験を継続した結果、小胞体ストレスマーカーおよびシャペロン分子の継時的発現動態を明らかにすることができた。加えて、矯正的歯の移動圧迫側を想定して低酸素状態における小胞体ストレスおよびシャペロン分子の発現動態を観察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoにおける小胞体ストレスマーカーおよびシャペロン分子の組織学的解析を継続して行う。加えて、in vitroにおいて歯の移動における小胞体ストレス応答の機能的役割を解明する為に、ヒト歯根膜から得た歯根膜細胞を低酸素状態にて培養し、その状態でメカニカルストレスを負荷することにより、細胞レベルでの小胞体応答を制御する分子を探索する。さらに、siRNAを用いた機能抑制実験を行うことにより、その経路を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度予定されるin situ ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCRおよび機能抑制実験用試薬・消耗品の購入が必要である。また、本研究成果を発表するために費用が必要である。
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