2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792283
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 隆 岡山大学, 大学病院, 助教 (00534786)
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Keywords | 小胞体ストレス / 歯の移動 |
Research Abstract |
矯正歯科治療中、歯に矯正力が加わると、歯根膜や歯槽骨が圧迫され虚血や低酸素が生じ、炎症様反応が惹起される。しかし、矯正的歯の移動における詳細な分子メカニズムは未だ明らかにされていない。一方、小胞体ストレスは、栄養飢餓、虚血、低酸素や遺伝子変異などによって生じた変性タンパク質が小胞体に蓄積し細胞にストレスが生じることである。本研究の目的は、実験的歯の移動モデルを用いて、そのような微小環境における歯根膜や歯槽骨の小胞体ストレス応答を検討することであった。 まず、骨添加が行われる牽引側を想定し、胎生マウス骨組織中の骨基質表層におけるさまざまな小胞体ストレスマーカーの発現の継時的変化をリアルタイムPCRにより調査した。その結果、すべての小胞体ストレスマーカーは、分化誘導後2間でピークに達し、3間後ではやや低下することを見出した。 一方、骨吸収が行われる圧迫側を想定し、矯正的歯の移動における圧迫側における小胞体ストレスマーカーの動態を探索するため、低酸素マーカーであるPimonidazoleをマウスの腹腔内に投与し、Waldo法にて矯正力負荷時の歯根周囲の低酸素状況を確認した。その結果、Waldo24時間後にPimonidazoleの発現を認めた。3日、1週間後では、その発現は認められなかった。次に、In vitroにおいて低酸素刺激下で骨芽細胞を培養し、小胞体ストレスマーカーの変動を調査した。骨芽細胞分化誘導培地にて3週間培養した後、2%酸素分圧下で24時間培養を行い、低酸素ストレスを付与した結果、小胞体ストレスマーカーであるXbp-1, Grp58, Atf4, CHOPすべてのmRNAの発現が上昇した。このうち、Atf4, CHOPは小胞体ストレス誘導アポトーシスに関連があることが知られており、DFO添加骨芽細胞分化誘導培地にて、経時的に特に強く発現が上昇することを見出した。本研究結果により、小胞体ストレス応答が、矯正的歯の移動に関与していることが示唆された。
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