2012 Fiscal Year Research-status Report
食物の硬さの違いは子孫の顎形態にも影響するのか? ―形態情報エピジェネティクス―
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24792284
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳田 剛志 岡山大学, 大学病院, 助教 (90534793)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 下顎骨 / 不正咬合 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
食生活のような後天的因子が、どのようにして顎態の変化をもたらすのかを明らかにすることを目的とし、固形食を摂取させたマウスと粉末食を摂取させたマウスの下顎骨を観察してきた。固形食マウスと粉末食マウスの頭蓋部を3DマイクロCTで観察を行ったところ、粉末食マウスの下顎骨の形態が有意に変化することが分かった。この変化の特徴は、人間で当てはめるとちょうど筋ジストロフィー患者の顎骨の特徴と類似しており、咬筋の働きが弱まることで顎骨の形態に変化を起こしていることが推測された。そこで、それぞれのサンプルのマウス咬筋から採取したtotal RNAサンプルを用いて、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を実施した。その結果、ある特定の遺伝子の発現量に著しい差が生じていることが分かった。その遺伝子の強制発現ベクターを作製し、筋肉細胞株であるC2C12に導入を行ったところ、その遺伝子を導入した細胞は、MTTアッセイによって細胞増殖が亢進されることが分かった。現在はその遺伝子のエピジェネティックな変化を観察するため、Faire sequence法による分析を行なっている。また、同遺伝子のリコンビナントタンパクと抗体の作製に取り掛かっている。 本遺伝子は、その発現様態が明らかにされておらず、どのような転写産物が産生されるかGeneBankにも一切情報が無いことがわかった。 今回の研究で今回発見した遺伝子の転写産物の情報が明らかにされ、今後広い分野での生物学研究に貢献できるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の進行状況は、予想どおりの結果ではなかったため、使用した実験手法等は当初の予定と異なっているが、これは今回発現に変化が見られた遺伝子がこれまでほとんど研究されたことの無い遺伝子であったためである。このため、遺伝子そのものの情報を得るための研究が追加で必要になってしまった。しかしながら、この事実は本研究の意義を損なうというよりはむしろより価値のあるものにしており、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回注目している遺伝子の機能、発現様態を明らかにし、食物の硬さの変化がどのように咬筋の発達に変化を与えるのか明らかにしていく。これらの結果は新規性の高いものであるため、学会での報告、論文での発表を行なっていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は引き続き遺伝子情報の解析のための外注費用と、リコンビナントタンパクや抗体作製、細胞培養や実験動物の購入、飼育などに使用する消耗品費用を計上する予定である。
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Research Products
(9 results)