2012 Fiscal Year Research-status Report
変形性顎関節症におけるHIF-1とBMP-2の役割
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24792285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
白倉 麻耶 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (70549013)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 / BMP-2 / 機械的刺激 / 骨代謝 |
Research Abstract |
これまでに変形性顎関節症(TMJ-OA)は下顎頭への異常な負荷もしくは過剰な負荷が顎関節構成要素を障害する圧迫力となり、表層軟骨の変性や骨吸収を引き起こすことが報告されている。我々は、既に培養骨細胞への機械刺激がHIF-1ならびにBMPの発現増加を促すことを明らかにしている。そこで、今年度は特にこのBMP-2に注目し、TMJ-OAの発症・進行について明らかにするため以下の実験を行った。 1)Wild type (WT)の下顎骨を摘出し、器官培養を行った。その際、培養液にBMP-2を添加し、BMP-2の下顎頭軟骨部ならびに軟骨下骨への影響をmicro-CTならびに組織学的に検討を行った。 2)下顎頭への咬合による機械的作用の検討を行うため、軟食・硬食による1ヶ月間の飼育後組織を摘出、リアルタイムRT-PCRにて分子生物学的検討を行った。 これらの現時点での具体的な成果として、1)始めに形態学的に比較を行ったところ、WTではBMP-2の有無で有意な差が認められなかった。一方で、micro-CTにて下顎頭部のBVF、BMCやBMDの増加傾向を認めた。一方Saffranin-OならびにTRAP染色を行ったところ、AggrecanはBMP-2添加の有無で有意な差は認められず、TRAP陽性細胞はBMP-2添加で減少する傾向を示した。 2)では、すべての条件下でハウスキーピング遺伝子には差が認められなかったにもかかわらず、軟食群においてAggrecanやType2 collagen、Sox9などの軟骨に関する遺伝子、RanklやOpgなどの破骨細胞に関連する遺伝子、BspやWisp1、Type1 collagenなどの骨に関連する遺伝子発現のすべてが有意に抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験モデルが順調に確立され、本研究の目的である変形性顎関節症における骨代謝とBMP-2との関連を調べるための準備がととのったと思われる。 ただし、留学により提携する研究機関の援助を得て当初予定していたモデルより有効であると思われるモデルを用いることが可能となったため、モデルならびに方法に関して若干変更を行った。 この理由により、現在はまだHIF-1に関しての関連性の評価を行うまでには至っていない。 そのため現在までの到達度を、2)おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、機械刺激によるTMJ-OAの発症・進行とBMP-2との関連をさらに詳細に検討する予定である。そこで、in vitro実験ではTMJ-OAモデルとしてExtracellular Matrix (ECM)のうちのBiglycanならびにFibromodulin欠損マウスを用い、器官培養にてTMJ-OA進行におけるBMP-2の作用を詳細に検討する。in vivo実験においては同様にTMJ-OAモデルとしてBiglycan/Fibromodulin欠損マウスを用い、ノーマルマウスをコントロールとして両マウスに軟食・硬食を与え下顎頭への負荷を変化させたのち、下顎頭組織から抽出したRNAにて遺伝子の変化を比較するとともに、組織学的・免疫組織学的に行うことでTMJ-OAの発症・進行とBMP-2との関連を調べる。またmicro-CTを用いて形態学的にも検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のように、本年度は一部を除き、留学先の予算にて実験を遂行した。そのため、当初予定していた物品を本年度は購入する必要がなくなり、学会参加費等の諸費用を除いた予算が未使用となった。 本年度用いなかった研究費は、日本に帰国後、上記の実験を続けて行うために用いる予定である。 具体的には、まずはPCR Arrayを用いてBMP-2と関連の深いwntシグナル経路に関連する遺伝子を網羅的に確認したのち、シグナル伝達の詳細を追求していく予定である。 また、当初ラットを用いる予定であったがマウスに変更したため、動物実験の継続にもより研究費が必要となると考えている。
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Research Products
(1 results)