2013 Fiscal Year Research-status Report
変形性顎関節症におけるHIF-1とBMP-2の役割
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24792285
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
白倉 麻耶 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 助教 (70549013)
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Keywords | BMP-2 / 変形性顎関節症 / 細胞外マトリクス |
Research Abstract |
変形性顎関節症(TMJ-OA)は下顎頭への異常な負荷もしくは過剰な負荷が顎関節構成要素を障害する圧迫力となり、表層軟骨の変性や骨吸収を引き起こすことが報告されている。また、これまでの報告で細胞外マトリクスの一種であるSLRP (Small Leucine-Rich Proteoglycan)のうちBiglycan/Fibromodulin欠損マウスが変形性顎関節症の様の組織像を呈し、組織の変性が正常マウスと比較し過度に悪化する傾向にあることがわかっている。一方、我々は、既に培養骨細胞への機械刺激がHIF-1ならびにBMPの発現増加を促すこ とを明らかにしている。そこで、今年度は引き続きこのBMP-2に注目し、TMJ-OAの発症・進行について明らかにするため以下の実験を行った。 1)野生型(WT)ならびにBiglycan/Fibromodulin欠損マウスの下顎骨を摘出し、器官培養を行った。その際、培養液にBMP-2を添加し、BMP-2の下顎頭軟骨部ならびに軟骨下骨への影響をmicro-CTならびに組織学的に検討した。 2)同モデルを用い、下顎頭部から組織を摘出した後分子生物学的検討を行った。 その結果、BMP-2添加群で骨・軟骨形成関連因子が優位に増加しており、特にBiglycan/Fibromodulin欠損マウスで著しい上昇を認めた。また、軟骨の破壊メディエーターとしてC-terminal telopeptide of type II collagenの発現量をELISAを用いて検討したところ、同様にBiglycan/Fibromodulin欠損マウスで優位に増加し、さらに骨・軟骨破壊関連因子も同様の傾向を示した。これらのことから、BMP-2が骨・軟骨の代謝に関与していることが示され、特にBiglycan/Fibromodulin欠損時にこのBMP-2の影響が強く認められることが示された。これらのことから、変形性顎関節症の発症・進行にBMP-2が影響する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は本研究を遂行するにあたって1年1ヶ月間アメリカ国立衛生研究所に留学し、上記の遺伝子欠損動物を用いて実験を行った。帰国後の現在も研究を継続しているが、留学に伴う新しい実験モデルの確立に時間が必要となったため予定していた研究の進行・達成はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は上記モデルでさらに」HIF-1とBMP-2の関連を組織学的に検討する。 さらにBiglycan欠損マウスを用いた咬合モデルを用い、下顎頭への機械的負荷の影響と細胞外マトリクスの関連をより一層追求していく。 具体的には摘出した下顎骨の形態学的検討をMicroCTを用いて行うほか、組織学的検討ならびに下顎頭部の骨・軟骨組織より遺伝子を摘出し、分子生物学的検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請者は2012年9月より2013年10月までアメリカ合衆国国立衛生研究所に留学した。本研究費申請時の申請内容である変形性顎関節症のより詳細な探索のため、留学先で細胞外マトリクス欠損マウスを用いて研究を継続した。さらに研究の方向性はそのままに、留学先で新たに得た知識を反映し帰国後も研究を再開している。 しかし帰国後の期間は結果を得るには不十分であり、継続した研究が必要となった。 今後は、まずは得られたサンプルより免疫組織学的にHIF-1ならびにBMP-2の発現を検討するとともに分子生物学的検討としてPCRアレイなどを用いてより詳細な発症機序・病態進行の機序の解明にあたる。
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Research Products
(1 results)