2012 Fiscal Year Research-status Report
転写因子IRF-4による骨リモデリング制御機構の解明
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24792297
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小原 悠 長崎大学, 大学病院, 医員 (70623825)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 |
Research Abstract |
骨代謝に変調をきたす病気として骨粗鬆症や大理石病、骨Paget病などがある。骨の恒常性は骨吸収と骨形成のバランスで保たれており、バランスが崩れることでこれら疾病が生じる。すなわち、このメカニズムを解明すれば代謝性骨疾患の治療法開発に役立つと期待される。血球異常、炎症性皮膚病変など転写因子IRFs(interferon regulatory factor)が関与するとされる疾患で、骨症状を有することがある。本研究ではIRFsの一つIRF-4が骨代謝機構に与える影響を明らかにし、代謝性骨疾患の治療応用のための基礎的研究とすることを目的とする。 本研究は具体的目的として以下の項目を挙げる。 ①IRF-4欠損時における骨形態の解析 ②IRF-4が骨芽細胞・破骨細胞形成に与える影響の検討と、メカニズムの解析 ③骨芽細胞・破骨細胞相互作用に対するIRF-4の関与 ④IRF-4機能不全時の生体内における刺激応答反応の検討 以上の検討はIRF-4欠損マウスを用い、野生型マウスと比較することで行うこととした。しかしながら現在IRF-4欠損マウスの飼育が軌道に乗っていない為、データを得ることができていない。本年度は野生型マウスにおける骨標本作製・細胞採取手技の習得、また培養条件はほぼ決定した。比較時点のサンプルは8週齢マウスより採取した大腿骨・脛骨、骨髄細胞または胎生18.5日マウスの未熟頭蓋骨から採取した骨芽細胞を使用することとした。 今後、IRF-4欠損マウスのサンプルを回収し次第、順次解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
IRF-4と骨代謝機構の相関・制御機構を明らかにすることを目的とし、期間全体を通して以下の項目について詳細な検討を行うこととしていた。 ①IRF-4の骨形成に対する影響の検討〈in vivo〉②培養骨芽細胞の分化・機能に対する検討〈in vitro〉③培養破骨細胞の分化・成熟・機能に関する検討〈in vitro〉④生体内における炎症刺激に対する反応の検討〈in vivo〉 研究にはIRF-4欠損マウスと野生型マウスを使用し、以上の検討は両者マウスを比較することで行うこととした。そのため、野生型マウスにおいて手技・条件がほぼ確立できたとは言えIRF-4欠損マウスの飼育が軌道に乗っておらず、未だ実験に使用できる段階ではない現段階では「遅れている」と評価せざるを得ない。 今後は飼育の条件も含めて検討を重ね、IRF-4欠損マウスのサンプルが充分量回収できることを念頭に進めていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一にIRF-4欠損マウスのサンプルが充分量回収できるよう、飼育・繁殖状況の検討・改善を試みていく。 飼育が順調に行えるようになった後、当初予定していた解析を順次進めていく予定である。①in vivo においてIRF-4の骨形成に対する影響の検討を大腿骨・頚骨を用いて骨形態の解析を行うことで確認する。IRF-4欠損によってどのような表現系を示すのか、野生型マウスとIRF-4欠損マウスの現状を把握し、細胞培養時の応答予測・解析・考察のベースとする。この結果を受けて ②IRF-4が骨芽細胞・破骨細胞形成に与える影響の検討と、メカニズムの解析をin vitroで試行する。各細胞に対する反応を検討したのち、同じくin vitroで ③骨芽細胞・破骨細胞相互作用に対するIRF-4の関与を検討。その後可能であれば、生体に対して様々ある刺激から、病態を想定し炎症の誘導を刺激として使用した ④IRF-4機能不全時の生体内における刺激応答反応の検討まで行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用する大型設備等はすでに完備されているため、設備備品は必要ない。しかしながら、研究はIRF-4欠損マウスのおよび野生型マウスを使用して行う。そのため、予備実験、確認実験を行うことを考慮すると主に必要な研究費は飼育費、試薬類などの消耗品費である。 また、情報収集、成果発表のため年2回程度の国内学会、年1回程度の国際学会への出席を予定しているため旅費が必要である。 その他、学会発表に伴う印刷費や論文投稿にかかる経費等が必要である。
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Research Products
(5 results)