2013 Fiscal Year Annual Research Report
バイオガラス含有ブラケット用接着材料のもたらすエナメル質再石灰化能
Project/Area Number |
24792300
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
甲田 尚央 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (10508716)
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Keywords | バイオガラス / 歯科矯正 / ブラケット / 再石灰化 |
Research Abstract |
ブラケット周囲エナメル質の脱灰という問題に対して、高い石灰化誘導能を有するバイオガラスを含有するレジン系接着材料を開発することに加え、矯正臨床におけるブラケット周囲のエナメル質の脱灰や再石灰化挙動を評価するためのin vitroエナメル質再石灰化評 価モデルの確立を行うことを目的として本研究を開始した。 バイオアクティブガラスの粉末を液相法(ゾル・ゲル法)によって作製後、4-META/MMA-TBBレジン系接着材料のポリマー粉末に重量比0から50%の割合で混合した粉末を、モノマー液およびキャタリストと混和し円盤状試料を作製した。試料を脱灰液(pH 4.5)に浸漬し、pHの経時的変化による緩衝能の分析を行った。さらに、ヒト抜去歯にバイオアクティブガラス含有接着材料(BG接着材料)を用いてブラケットを接着し、脱灰液(pH 4.5)と再石灰化液(pH 6.8)によるサイクル浸漬を行った。その後ナノインデンテーション試験により、ブラケット周囲エナメル質の機械的特性を解析した。また、同様の試料を用いブラケットのせん断接着力を測定した。 BG接着材料は、バイオガラスの添加量増加に伴いより強い緩衝能を示した。ナノインデンテーション試験において、バイオアクティブガラスの含有量が多い試料では、ブラケット周囲エナメル質の脱灰に伴う硬さ値と弾性係数の低下が抑制された。これはバイオアクティブガラスから溶出するイオンによる緩衝能と再石灰化促進効果によるものと考えられる。せん断接着力については、バイオアクティブガラス含有量の増加に伴い接着力が低下する結果を示したが、ブラケット用接着材料として十分な接着力が得られているものと考えられた。 バイオアクティブガラスを4-META/MMA-TBBレジン系接着材料に添加することにより、接着力はやや低下するが、エナメル質の脱灰抑制と再石灰化促進の効果が期待できる。
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